2024年11月、音と映像と通信のプロフェッショナル展『Inter BEE 2024』が幕張メッセで開催されました。TASCAM(ティアック株式会社)はプロオーディオ部門に出展し「放送」「ライブサウンド」「設備音響」「ビデオサウンド」の4つのカテゴリーにおいて最新の製品展示を行いました。本記事では、TASCAMブースの展示内容を振り返りご紹介いたします。
Intre BEE 60回目を機に開催されたINTER BEEアワードのプロオーディオ部門において、今回の目玉展示となったデジタルミキサー「TASCAM Sonicview」とオプションインターフェースカード「IF-ST2110」がグランプリを受賞しました。
INTER BEEアワードの受賞ニュースはこちらからご覧いただけます。
新発売となる64入力/64出力インターフェースカード「IF-ST2110」は、TASCAM Sonicviewシリーズに装填することでSMPTE ST 2110 規格によるIP接続を革新的にリーズナブルな価格で実現します。「TASCAM Sonicview」は2つのオプションカードスロットを備えており、すでにSonicviewを導入している場合でも「IF-ST2110」カードを装填することでSMPTE ST 2110システムに対応可能なミキサーとなります。
ブース内では、Huawei製「S5735I-H24U8S4XE-QA-V2」ネットワークスイッチを介して2台の「TASCAM Sonicview」をSMPTE ST 2110接続する環境を構築。ST 2110接続による音声信号の疎通を実際にご覧いただきました。
「TASCAM Sonicview 16」を中心としたラジオスタジオの再現デスクでは、定番機である放送業務仕様CDプレイヤー「CD-6010」、2chオーディオプレイヤー「SS-R250N」とリモコンユニット「RC-SS150」「RC-900」によるポン出しシステムの実演や、クロックジェネレーター「CG-2000」、新発売のマスターレコーダー「DA-3000SD」など実際のスタジオに準じた機器をご覧いただきました。
デジタルミキサー「TASCAM Sonicview」は発表から3年を迎え、放送用音声卓として多くの放送現場へ導入されるようになりました。機能面においても熟成を重ね、バージョンアップを実施しています。ファームウェアV1.7ではAudio Follow Video(タリー連動機能)やモニター機能の強化など、放送業務でより便利に使用できる機能を追加。さらに、モニターADD機能、マイクロケーション機能、トークバック機能の強化など、外部機器を増やすことなくスタジオ内でより便利にオペレーションやコミュニケーションができるようになった機能を実演展示しました。
2025年1月に公開したファームウェアアップデート(V2.0.0)では、オートミキサー機能をはじめ、Ember+での制御などに対応する新機能を搭載しました。これらの動作もブースで実演しご紹介しました。
TASCAM Sonicview V2.0.0の詳細はこちら。
また現在、TASCAM Sonicviewの電源二重化モデル『Sonicview 16dp』、『Sonicview 24dp』も開発を進めており、新製品事前資料をお配りしています。
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TASCAM製品史上もっとも高性能なマイクプリアンプ「Class 1 HDIA」を搭載し、その解像度の高さでご好評をいただいているデジタルミキサー「TASCAM Sonicview」とステージボックス「SB-16D」はライブサウンド用途でも活用いただいています。
本体重量は、「TASCAM Sonicview 24」は18kg、「TASCAM Sonicview 16」は13kgと非常に軽量なため仮設現場などでの持ち運びも苦労しません。
また、ファームウェア―アップデートによりUSER KEY機能が拡充。内蔵プレイヤーの指定したトラックをワンアクションで再生する簡易ポン出し機能や、GPIOのエミュレートスイッチとしてAudio Follow Video機能を制御し、スイッチ一つでフェードイン/フェードアウトなどの操作ができるようになりました。
その他にも「TASCAM Sonicview」は、オプションインターフェースカード「IF-MTR32」を装着することで32chのマルチトラック録音が可能です。展示会場ではマルチトラック音源をミキサーに立ち上げることで各楽器のミキシング体験をいただきました。
ティアック株式会社が輸入代理店を務めるイタリアのスピーカーブランドdBTechnologiesからは、様々な用途でお使いいただけるPA/SRスピーカーを展示。簡単なパーツ交換でポイントソース或いはラインアレイになる「VIO X206」とサブウーハ―「VIO S115」は、コンパクトな筐体から想像できない迫力のあるサウンドとデジタル制御による高機能性に注目が集まりました。
2024年11月に新たに生まれ変わったINGENIAシリーズから2-wayアクティブスピーカー「IG3TR」を国内初展示。「IG3TR」は、RDNetアダプターを標準搭載することで「dBTechnologies AURORA NET」ソフトウェアからリアルタイムでモニタリングや制御を行うことが可能。スタイリッシュに、コンパクトに、スピーディーに、クリアでパワフルなスピーカーシステムを構築できます。
dBTechnologies製のステージモニターも展示。ステージモニター「VIO W10」は、演者の足元を隠さない非常に薄い特殊な形状で注目を集めました。本機は、デジタルサウンドプロセッシングにより「スタンダード」、「ナロー」、「ワイド」、「ファー」の4つのプリセットから指向性を調整することが可能です。
最新メディアプレイヤーとして発売前の「MP-800U」を参考出品しました。CDドライブのないプレイヤーながら、ピッチコントロールの他、オートキュー、オートレディー機能やオーディオインターフェース機能を搭載。また暗い場所でも容易に確認ができるLED付きのPlay/Pauseボタンを採用予定。PA関係のお客様からもご好評いただきました。また、別売りオプションを装着すればBluetooth経由でアプリ操作やEthernetによる制御にも対応します。
以下のリンクボタンよりMP-800Uの資料をダウンロードいただけます。
ディスクメディアに対応した業務用機としては、「BD-MP4K」と「BD-MP1MKII」が注目を集めました。多くの既存システムに合ったFULL HD対応の「BD-MP1MKII」と、今後4K再生機に市場がシフトすることを見込み4K UHDに対応した「BD-MP4K」2機種をラインアップしています。ディスクメディア対応したプレイヤーは減少傾向の中で、弊社の動向に期待と注目が寄せられました。
設備用デジタルミキサー「MX-D1606」は昨年に引き続き関心が寄せられました。国内で多くあるフェーダー付きの設備向けミキサー需要に応えるべく製品化を行ったモデルです。12入力/4出力のマトリクスミキサー、USBオーディオインターフェース、誤操作を防止するフェーダーロック機能などを搭載。専用アプリにより設定を行うことも可能です。
また、ラックマウント対応のフェーダー付きミキサー「MZシリーズ」は、お求めやすい価格が好評で、会議室、店舗BGM用機器としてロングセラーとなっています。
ミキシングアンプ「MA-BT240」は、ハイインピーダンス、ローインピーダンスに対応した最高240WのハイパワーClass Dアンプを搭載。マイク・ライン入力の他に、Bluetooth®オーディオの再生に対応します。複数台のカスケード接続用RCAラインアウト端子や、用途によって変更できるハイとローの切り替えスイッチを装備します。ブースでは、実際のシチュエーションを模したスピーカーに接続し、ハイ/ロー両インピーダンスを切り替えて試聴体験ができる展示を行いました。
2024年9月に新発売となった32ビットフロートフィールドレコーダー/タイムコードジェネレーター「FR-AV2」は大きな注目を集めました。ビデオサウンドでは定番となった音割れしない32ビットフロート録音に対応する2chのポータブルレコーダーで、本体にタイムコードインとアウト端子を装備。タイムコードマスターとしてタイムコードを分配できるほか、スレーブとして外部からのタイムコードを受けることも可能です。また、音声信号としてタイムコードを出力できるため今までタイムコードに対応していなかった様々なカメラと接続することでタイムコード同期システムを実現します。これにより、複数カメラを使った撮影や、録音/停止を繰り返すような撮影であっても、編集作業を飛躍的に効率化します。ワイヤレスでの音声モニタリングにも対応します。
動画用音声レコーダーの定番となった32ビットフロートレコーダー「Portacapture X8」「Portacapture X6」、ピンマイクレコーダー「DR-10L Pro」の展示も行いました。使いやすいユーザーインターフェースや、音割れしない32ビットフロート録音でご好評いただき、ビデオサウンドはもちろんのこと、フィールドレコーディング用途でお使いいただいているというお客様も多数いらっしゃいました。ポータブルレコーダー機器は、新製品が導入される周期が早くこれからも目の離せない注目カテゴリーです。
Inter BEE 2024のTASCAMブースでは、放送、ライブサウンド、設備音響、ビデオサウンドといった幅広い分野において、革新的かつ高機能な音響ソリューションの展示を行いました。高評価いただいたSMPTE ST 2110対応デジタルミキサーや、根強い需要のある設備用ミキサー/プレイヤー、多くの反響をいただいた32ビットフロート対応のオーディオレコーダーシリーズなど、今後の市場展開に大きな期待が寄せられています。
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