長野県下伊那郡のPA会社、株式会社CUBE様に、dBTechnologiesのVIO L210、VIO S118およびRDNET CONTROL 2を使用した4/2対向ラインアレイシステムを導入いただきました。
現場で使用いただいた上でのご感想や、導入の経緯について代表取締役の中島裕喜氏、スタッフの中島加代子氏、今井聖氏にお伺いしました。
導入された製品:
スピーカー
2-Wayアクティブ ラインアレイモジュール: 『VIO L210』x 8台
サブウーハー: 『VIO S118』x 4台
アクセサリー類
フライバー: 『DRK-210』x 2台
RDNetコントロールインターフェース: 『RDNET CONTROL 2』x 1台
(スピーカーシステムマネージメントソフトウェア dBTechnologies AURORA NET 制御用)
CUBEさんがオープンした経緯について教えてください。
中島(裕)氏(以下敬称略) : この仕事は専門学校を卒業してすぐ23歳の時から始めました。最初はスピーカー4台、ミキサー1台で小規模なイベントの音響などをしていて、仕事がたくさん来るにつれて機材も増えていきました。
転機になったのは2006年で、権兵衛トンネルの開通式というかなり大掛かりな式典の音響を任された時です。当時は機材が全然足りなかったので、ポイントソーススピーカーを10台以上導入しました。この時お世話になった代理店さんとお仕事をさせて頂くようになったことはとても大きくて、これを機に県内各所で仕事の幅が広がりました。
『CUBE』という名前にはどういった由来がありますか。
中島(裕) : ルービックキューブに由来して付けました。
物事を1方向から見るだけでは1つの面しか見えません。私達は関わらせていただく業務に対して主催者様・ご来場者様・ご出演者様といった様々な視点に立つよう心がけています。それが『CUBE』の視点です。
CUBEの皆さんにそれぞれ担当はありますか。
中島(裕) : メインのオペレーターは私が勤めています。
今井氏 (以下敬称略) : 音響のオペレートもやりますが、メインは照明担当です。
中島(加)氏(以下敬称略) : ディレクター担当です。出演者さんとステージングの打ち合わせを行います。
中島(裕) : 地方のイベントは舞台監督がいない現場がほとんどなので、僕らの様な音響会社が主催者側だけでなく演者さん側とも打ち合わせを行うんですよ。これをオペレートしながらやるのは相当厳しくて、ディレクター担当を立てることにしたんです。その結果イベントも円滑に回るようになりましたし皆様からもやりやすいとご好評をいただいています。
中島(加)氏(以下敬称略) : みんなが楽しくないと意味が無いので、話しかけやすいPA屋さんでいる事は意識しています。
普段はどのようなお仕事が多いですか。
中島(裕) : 地域のお祭り関係のPAが多いです。夏祭りや学園祭はもちろん、秋は収穫祭がありますし、行政関係の催し物も多いですね。内容的には地元のサークルの発表会や、ミュージシャンを招いてコンサートをすることが多いです。
県外だと愛知県の「にっぽんど真ん中祭り」でよさこいの現場があります。全国のよさこいチームが集まる大イベントで、発電機をトラックに積んでスピーカーを鳴らしながら踊りと並走するんですけど、この時はPA屋さん同士の対決みたいになっています。(笑)実はそれもあってVIO L210の導入を検討しました。(笑)
今はリニアの開発で工事ラッシュが続いているためテープカットなどの式典もすごく増えています。トンネル内での開通式とかは相当反響を気にしなくてはいけない現場なので、こういった現場でも直進性の高いラインアレイスピーカーは必要なんですよ。
他県の方からすると長野県はイベント数が多いらしいです。
最近だと映像配信の仕事も増えてきています。
かなり多角的な事業展開をされていますが、相当忙しいのではないですか。
中島(裕) : CUBEとしてのスタッフはこの3人なのですが、ありがたいことに協力してくれる業者さんやアルバイトスタッフさんがたくさんいてくれて、持ちつ持たれつで頑張っています。こういったネットワークは昔から大事に育んできました。
CUBEさんが特にこだわっていることはありますか。
中島(裕) : ディレクターの話にも通じますが、お客さんとコミュニケーションを積極的にとるようにしています。お客さんの思っていることや考えを伝えてもらう事が、イベントをより良くしていくためには重要で、そのためには要望を言いやすい環境を僕らが作る必要があると思っています。そうするとお互いの信頼度も上がっていって、いいものを作り上げていくことが出来ます。
ラインアレイを導入しようと思ったきっかけはなんですか。
中島(裕) : 学園祭のPAのご依頼が増えたおかげで、キャパの大きい現場も増えてきたんです。以前から式典向けのスピーカーを持っていたのですが、学園祭ライブ用メインスピーカーとしてはパワーが足りなかったのと、それはアレイの角度が固定でしか使えないものだったので、0°から組めるハイパワーのラインアレイの導入を決意しました。
dBTechnologiesを知っていただいたきっかけはなんですか。
中島(裕) : YouTubeで海外の試聴会を見ていた時にDVA T8を見つけたのがきっかけです。意外だと思うんですけど、ネット上で聞いてもすごくフラットで僕好みの音に聞こえたんですよ。
中島(加) : YouTube見ながら騒いでたよね。(笑)
中島(裕) : そうそう。自分が代理店やりたいと思ってた。(笑)
他社製で聞いたことがあるスピーカーはネット上でも自分の印象のまま聞こえていたので、これは期待できるぞと思ってティアックさんとやり取りをさせて貰うようになりました。
以前からから気にしていただいていたのですね。
中島(裕) : そうですね。VIO L210が出たあたりから本格的に欲しくなっていました。
「dBTechnologies DAY(SR/PA用スピーカー試聴体験イベント)」にもお越しいただきましたね。
中島(裕) : はい。あの時点で導入自体は心に決めていたんですけど、VIO L210とVIO L208どちらにするかで悩んでいました。
VIO L210を選択された理由は何ですか。
中島(裕) : デモ機をお借りして聞き比べた結果ですね。VIO L208もコンパクトですごく良かったのですが、やっぱりVIO L210の方がパワーがあって好みの音でした。ちょうどパワーゲート付きのトラックに買い替えたこともあって、運用上の問題は無かったのでVIO L210に決めました。アレイを組んだ状態でトラックに積むので設置もかなり早いですよ。
ラインアレイを選定する際に重視したことはありますか。
中島(裕) : 電源容量が少なくて済むという事が前提条件でした。田舎の現場だと電源の確保がシビアなのでデジタルアンプの恩恵は大きいです。電源容量の問題で現場を選ぶことが無いこの汎用性の高さは心強いです。
パワードスピーカーを選んだ理由は電源効率の良さからですか。
中島(裕) : そうですね、電源の問題は大きかったですね。パワードの電源効率は圧倒的に良いです。
あとは、dBTechnologies AURORA NETでスピーカー1つ1つをコントロールできる事も近代的だと思いました。パッシブのラインアレイだと1ユニットごとの調整は出来ないので、前列のお客さんにとっては大きすぎる音を出す場合もあるじゃないですか。その点パワードであれば近距離用のユニットは個別に音量を絞ることが出来ます。どこで聞いても同じ音が聞こえるというラインアレイの真骨頂を引き出すためには自然とパワードという選択に落ち着きましたね。
現在気になっている製品はありますか。
中島(裕) : VIO X205-60です。既にデモ機もお借りしましたが、音のバランスも抜群に良いです。
例えば式典の現場でテントの天井柱に吊るして使いたいです。オプション金具も充実していますし、小さくて邪魔にならないのが良いですね。
あとはライブのインフィル用としても使いたいです。ステージの前面に置いても邪魔にならないし、軽くて設置も楽なのでかなり使い勝手がいいと思います。
パワーはいかがですか。
中島(裕) : 十分です。マックスで出したことはまだないです。音については下げてくれと言われたことしかありません。(笑)
音の印象はいかがですか。
中島(裕) : 僕はオペレートする上で声の帯域を重視するタイプなんですが、声の帯域・ハイの伸び・リバーブの綺麗さが断トツで良いです。キンキンせず綺麗にハイが伸びてきますし、ローもぼやけずにしっかり前に出てきます。
中島(加) : 女性ボーカルの声が特に煌びやかで明るく聞こえました。綺麗な音が出るスピーカーですね。
中島(裕) : あと、一般の方にも心地よい音だと思います。どこへ持って行っても本当に評判が良いです。高級オーディオに近いものも感じていて、オーディオが好きな人にも受けそうな音ですね。
設置についてははいかがですか。
中島(裕) : dBTechnoloiesの製品は、現場を分かっている人が作っているのが伝わってきます。スタック時に使うピンはちょっと固い感じがあるんですけど、しっかりはまってくれるおかげで全く共振しないので本番は安心できます。
また、事前に組んでパッチした状態で搬入できるので、現場で電源と卓のアウトを繋げば音が出せるというのはとても効率が良いです。アンプラックの繋ぎこみも無いわけですしね。仮設現場は仕込みの時間が無いことの方が多いので事前に準備しておけるのは本当に心強いです。
VIOではないですけどSUB 915のハンドル位置にも同じことを感じました。時間が限られている仮設現場において一人で運べるかどうかは重要なポイントですが、SUB 915はすごく持ちやすくて一人でも余裕で積み下ろしが出来ます。
dBTechnologies AURORA NET(スピーカーマネージメントシステム)の使い勝手はいかがですか。
中島(裕) : ものすごく簡単です。アプリのデザインが優秀で、視覚的にスピーカーの状態が分かるのが良いです。
dBTechnologies AURORA NETでは主に何を監視されていますか。
中島(裕) : 夏はTEMP(アンプ温度)を見ています。あとは、まだそこまで出さないですけど爆音の現場ではOUTPUTを見ます。
dBTechnologies AURORA NET 上でEQも設定しますか。
中島(裕) : 設定します。けれどほとんど触らなくても使える音なのでその辺りも現場ではかなり重宝しています。
VIO S118(サブウーハー)の音はいかがですか。
中島(裕) : ローの回り込みが全然気にならないのが凄いです。基本的にカーディオイドする必要が無いです。
ありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。
中島 裕喜(なかじま ゆうき)
長野県飯田市出身
2004年からフリーランスで業務を開始。
2009年株式会社CUBEを設立。
長野県を拠点にコンサート、各種企業・行政イベント、学園祭など多岐にわたる業務を行う。
音響以外にイベント企画なども行なっている。
2021年から配信業務を開始。
株式会社CUBE
https://cubems.jp/
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