TBSラジオ様の番組『アシタノカレッジ』にて放送と同時に実施されている配信で、ライブストリーミング用エンコーダー/デコーダー TASCAM『VS-R265』をご使用いただいています。
導入経緯や運用について、番組プロデューサーの 株式会社TBSラジオUXデザイン局UXプランニング部 本多良恵 様、株式会社TBSラジオUXデザイン局メディアテクノロジー部 富田大滋 様に話をお伺いしました。
番組の配信を行っていくうえで、お考えのことがあれば教えてください。
本多さん(以下敬称略): 『アシタノカレッジ』は2020年9月から始まった番組です。
若者にたくさん聞いてほしいとの想いから、YouTubeでの配信 をレギュラーで行うことになりました。
理由はいくつかありました。
また、配信の場合、ラジオ番組終了後も少しだけオンラインイベントのような雰囲気でパーソナリティが話をします。リスナーがより親近感を持っていただける効果もあると思います。
今回『VS-R265』を導入いただいた経緯を教えてください。
富田さん(以下敬称略): レギュラーのラジオ番組での映像配信ということもあり、当初から配信専門スタッフを準備することは想定しておりませんでした。そのため、配信設備の設定や操作性、また動作の安定性などが必須条件です。
『VS-R265』は、アカウントが不要で、エンコード専用機ということで安定性も期待出来きることなどが、エンコーダーの主な選定理由です。
使用した感想はいかがだったでしょうか。
富田: 配信設定がシンプルでとても分かりやすいです。また一度設定すれば装置を起動するだけで、そのまま使用できるので重宝しております。放送時間が人手の少ない午後10時から深夜0時という遅い時間帯ですが、安心して使用しております。
配信システムについて教えてください。
富田: 配信システムは次のようにケース分けすると分かりやすいかもしれません。1つはカメラやスイッチャーも自社で用意し、映像業務も含め自社で配信を行うケース(A)です。もう1つは映像業務を外注して、それ以外の音声などを自社で配信するケース(B)です。
『アシタノカレッジ』は、どちらのケースでしょうか。
富田: カメラやスイッチャーを設けているケース(A)です。
富田: 音声入力などはエンコーダーよりも前段のスイッチャーで行っています。そのためエンコーダーのバランス音声入力は使用しなくても成り立ってしまいます。『アシタノカレッジ』などレギュラー番組では、映像業務を外注せず、さまざまな機能をスイッチャーに担わせております。システム系統図の通り、スイッチャーのSDI出力をレコーダで収録します。
スイッチャーが配信業務の核となって、『VS-R265』はエンコーダー機能のみを使用するわけですね。
もう1つのケースではどのような運用でしょうか。
富田: 映像制作は外注して映像信号をもらい、自社で音声制作と配信を行うことになります。この場合、通常であれば映像に音声を重畳する機材を用意する必要があります。『VS-R265』はバランス音声入力があり、HDMI入力の映像信号に重畳できますので、別途機材を用意することが不要となり重宝しています。
富田: また、ケース(A)において、スイッチャー出力をレコーダで収録する作業は、ケース(B)ではエンコーダーそのもので保存することができます。エンコーダー機器でファイル化までできることは大変便利です。もちろんケース(B)でしか使えない、という意味ではなくTASCAM製のこのエンコーダーが一つあれば、どのケースでもファイル化が可能、という強さがあると感じております。
今後、期待する点はありますか?
富田: 『VS-R265』は1ストリームしか配信できないため(*)、YouTubeのバックアップURLを設定することができていません。今後、より信頼性の高い配信が求められることが予想されますので、バックアップURL等、複数ストリームへの配信を可能にし、冗長化することが必要になると思います。
(*)2020年11月取材時の機能
機材やTASCAMについて一言お願いいたします。
本多: 配信の品質は、『VS-R265』を使用したYouTubeの画質で全く問題ありません。
配信イベントは増加傾向ですので、配信に必要な機材が多くあると良いと思います。
本日は今後の動向についてもお話しいただきまして、ありがとうございました。
— お話しをお伺いした方 —