2020年9月にグランドオープンしました東京ポートシティ竹芝 ポートホールで行われた『竹芝夏ふぇす2020「TAKESHIBA Seaside Music」』にて、dBTechnologiesのDVA K5、DVA KS10、およびAC26Nの4/2対向システムが使用されました。
今回、音響プランニングと当日のPAをご担当された株式会社FreedomSoundの葛西様にお話を伺いました。
使用された製品:
DVA K5 × 8台、DVA KS 10 × 4台、DRK-10 × 2台、AC26N × 1台、OPERA 15 × 2台
普段の案件やお仕事内容についてお教えください。
今回のようなライブPAはもちろんですが、商業施設等での音響もやらせてもらっています。現在はイベント自粛の影響で音楽系の仕事が減ってしまったため、設備の保守点検をメインに活動しています。また商業施設の施工も行っていて、音響のシステムラックや照明の納品等もしています。
ライブPAのお仕事でポイントとしていることはありますか?
一番大切にしているのはアーティストの方や、来場者と一緒に現場の空気を楽しむことですかね。自分自身が楽しまないと、いいサウンドは届けられないと思っているので。音楽しかりコミュニケーションしかり、どんな現場でも楽しむことを意識して仕事をしています。あと心がけているのは、その現場の機材のポテンシャルを最大限に引き出すこと。試行錯誤しながら常によりよいものを目指しています。
今回開催されました「竹芝夏ふぇす2020」についてお教えください。
今回のイベント『竹芝夏ふぇす2020』は、今年9月に開業した「東京ポートシティ竹芝」よりオンラインで開催されたイベントでした。
例年は竹芝客船ターミナルにて東京湾の潮風に吹かれながら、音楽やクラフトビールなど、盛りだくさんのコンテンツで開催されるイベントなのですが、今年は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、イベント自体はオンラインでの開催だったので、その事前収録のPAをやらせてもらいました。
竹芝夏ふぇす2020「TAKESHIBA Seaside Music」のアーカイブ
今回、数あるスピーカーの中からdBTechnologies製品をご使用いただきましたが、機材選定において重視されたことはありましたか?
まず前提条件に、「片側30Aに収まる」、尚且つ「十分音量を出せるスピーカー」を探していました。
その点で行くと今回のシステムは最大消費電力の合計が片側18.08Aなので余裕でしたね。
音量という意味ではパワーもかなり存在感がありました。
今回大音量は出さなかったのですが、スピーカー自体はかなり余力が残っていて、高いポテンシャルを秘めていると感じました。
実際にご使用していかがでしたか?
思ったより見た目に威圧感が無く、すっきりまとまっていました。
音の印象は、素直だなと感じました。スピーカーによって音作りに癖が出ますが、DVA Kシリーズはそれが少なくてフラットでも十分に使える音でした。
音も狙った場所に素直に届きますし、後ろの席までしっかり届いていました。ステージ内への回り込みも、今まで使用したことのあるシステムと比べても少なかったし、とにかく扱いやすかったですね。
スピーカーの調整次第でオールジャンルに対応できるスピーカーだと思います。
このクオリティで希望小売価格(税別)の合計が片側157万円。しかもアンプ込みな訳で。コストパフォーマンスは相当高いと思います。
サブウーハーはKS 20を1台ずつではなく、なぜKS 10を2台重ねられたのでしょうか?
運用性ですね。1人でハイエースに積んでいく現場もあるのでコンパクトな方が好都合だったので。
あと、片側2/1対向で使う現場もあれば4/2対向で使う現場もあるし、買い足していくこともできるので、今の仕事のやり方だとKS 10の方がマッチしましたね。
ただ、大規模イベントがメインの仕事だったらKS 20を選んでいます。
dBTechnologies DVAシリーズは、パワードスピーカーになりますが、その点はいかがでしたか?
パワーアンプ内蔵であそこまで軽いので、最初は本当にアンプが入っているのか不安になりました。(笑)
その分、セッティングは相当早かったです。アンプのセッティングが必要ないというだけで相当時間短縮になりますし、一人でも組み立てられる軽さですからね。
現場は室内で熱や雨の心配も無かったので、アンプ部に対して不安もありませんでした。
スピーカーのほかにデジタルオーディオコントローラー『AC26N』と制御用アプリ『dBTechnologies AURORA NET』を使用してスピーカーチューニングを行われていましたが、使用感を含めていかがでしたか?
今回は持っては行ったけど正直あまり使いませんでした。時間が無かったという事もあるのですが、いかんせんフラットでも使える音だったので今回は必要なかったですね。
時間があれば、色々作りこみたいですし、スピーカーチューニングを行わなくても十分狙った音が出せます。
今回はDVA Kシリーズの他に、OPERA 15を1台ずつサイドモニターとして使用されていましたが、こちらの使用感はいかがでしたか?
10万円以下のスピーカーですが、想像以上のパワーが出ていてサイドしてとても優秀でした。ローのパワー感がしっかりあったので演者側も気持ちよかったと思います。
OPERAも相当コストパフォーマンスが高いですね。
また、パワードの15インチとは到底思えない軽さでした。女性スタッフでも余裕でポールマウントできていたので作業効率も高かったですよ。
ありがとうございました。
葛西賢規 (かさいまさき)
2004年に株式会社エム・エンタープライズ入社。2年間のアシスタントの修行期間を経て、エンジニアとしてデビュー。地域のお祭りや学園祭、野外コンサート、また政府主催の式典やコンテスト等、様々なジャンルのPAを担当。
2010年には「EAST木村オカリナストーリー」韓国ツアーに専属PAで同行。初の海外遠征で2万人野外コンサートの生放送のオペレートを体験。
また、音響業務の傍らイベント制作や施工などを学び、近年では、ららぽーと系列やイオングループの音響機材の設営プランニングも行っている。
2020年に株式会社FreedomSoundを設立。「自由に音楽を楽しむ、楽しんでもらう」を企業理念とし、音響活動を通じ地域・社会に貢献したいと考え、現在奮闘中。