NoGoD団長がヴォーカルを務めるプログレッシヴ・ポップ・バンド、Alternation of Generationsの同期演奏システムにUSBオーディオインターフェース『US-16x08』が機材導入されました。
今回は、1st ONE MAN TOUR "Progressive or Popular"のツアーファイナルである新宿ANTIKNOCKの公演へ伺い、ライブでの『US-16x08』の運用方法、導入の経緯を団長さんにインタビューしました。
① ドラム椅子の隣にパソコン、US-16x08、イヤーモニター用の小型ミキサーを用意します。
② パソコンでDAWソフト(今回はスタインバーク社Cubaseを使用)を立ち上げ、US-16x08とUSB接続します。
③ Cubaseで作ったミックスをそれぞれUS-16x08のOUT PUTにルーティングします。 以下はルーティングのイメージです。
④ US-16x08のOUTPUT端子からステージ上のマルチボックス(ステージボックス)へ同期音源を出力し、PA側に送ります。
US-16x08のOUTPUTはTRS端子です。Alternation of Generationsさんではクリック以外の出力に当たるOUTPUT 1~OUTPUT 4がPA側へ送る同期音源となり、TRS×4→XLR×4の4chマルチケーブルを使用して音声出力しました。
OUT PUTルーティング | |
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OUT 1 | 楽器もの音源 Lch(バッキングギター、シンセ等) |
OUT 2 | 楽器もの音源 Rch(バッキングギター、シンセ等) |
OUT 3 | コーラス音源 Lch |
OUT 4 | コーラス音源 Rch |
OUT 5 | - |
OUT 6 | Bass用クリック |
OUT 7 | Guitar用クリック |
OUT 8 | Drums用クリック |
⑤ Alternation of Generationsさんではヴォーカル以外はイヤーモニターを使用するので、イヤーモニター用のクリックをOUTPUT 6~OUTPUT 8から出力し、各自のイヤーモニター用小型ミキサーへ出力します。この際のケーブルはTRS→TRSを使用されています。クリックはドラムだけ聞けばよい場合や、全員に同じクリックを共有すればよい場合もありますが、Alternation of Generationsさんの場合、各自が自分にとって分かりやすいクリックを作成し、自分専用のクリックに合わせて演奏されています。
同期音源を使用したライブはいつごろからやっていますか?
団長 : Alternation of Generations(以下、A.O.G)が実質初めてです。NoGoDは生楽器オンリーでやっていました。
同期音源はどなたが作られるのですか?
団長 : 作曲者であるギターのYOSHIHIROです。彼が、シンセ系、バッキング系、コーラス系それぞれのバランスをとったステレオトラックを作ってくれるので、そのデータを僕のパソコンのDAWに取り込んでいます。
各ステレオトラックの音量バランスはどのようにとっていますか?
団長 : スタジオでバンドと合わせながらDAW上で細かい調整を行っています。最終的にはゲネプロでPAさんと相談しながらバランスを決めています。
ライブ中のDAWのプロジェクトの管理(曲の管理)はどのように行っていますか?
団長 : A.O.Gではドラムが同期音源の再生を行うので、彼に負担がかからない方法を探しました。
僕が使っているDAWはCubase PROなのですが、1つのプロジェクト内に全曲分の同期音源を仕込んでいます。
この状態のままだと、1曲ごとに再生/停止する必要があり大変なので、1曲ごとにアレンジャートラックを設定して、アレンジャートラックの範囲の再生が終わったら一時停止するように設定しています。そうすることで、曲終わりに一時停止を押す必要が無くなり、次の曲の頭出しも自分で行う必要が無いので、本番で行う操作は曲初めにスペースキーを押して再生するだけになります。2曲続けて演奏する場合は、その間一時停止しない設定にすることもできるので、セットリストに合わせて臨機応変に対応しています。
曲の順番もドラックアンドドロップで簡単に変えることができるのでセットリストの管理も容易です。
イヤーモニター用のクリックは皆さん別系統で出力するのですね。
団長 : はい。うちのバンドは変拍子がものすごく多いので、ドラムだけクリックを聞いていれば良い訳ではないのです。そのクリックもただMIDIクリックを流しているだけだと今どこを演奏しているのかを見失います(笑)
そのため、みんな自分が分かりやすいようにオリジナルクリックを作ってくるようになりました。ポイントとなる小節でクリックの音色を変えたりボイスカウントを入れて、それを聞きながら演奏しています。
今回のようなシステム構成にした理由はなんですか?
団長 : まず大前提としてDAWを使った同期音源出しにしようと思っていました。
というのも、一度とある企画バンドで同期があった時、その現場ではMTRが使われていたのですが、現場で「同期音源を設定し直したい」と思ったときに、MTR上でできることには限界がありました。DAWであればリハ中でも、本番直前でもちょっとした音量の微調整からプロジェクトの管理までできてしまうんですよね。なので、DAW+オーディオインターフェースというシステムが一つの軸でした。 最初はもともと持っている4 OUTのオーディオインターフェースで良いかなと思っていたのですが、出力数が足りませんでした。
どのくらい出力があった方が良いかPAさんとも相談しましたが、出力が少なすぎると現場での音量調整が難しいですし、かといって全トラックをパラ出力すると今度はPAさんがバランスをとるのが大変になってしまうので、ライブハウスでの現実的な運用を考えると8 OUTがベストな選択でしたね。
8 OUTあるオーディオインターフェースの中でもUS-16x08を選定したのはなぜですか?
団長 : まずTASCAMさんと聞くとプロユースのブランドという印象がありますね。業界標準といいますか。US-16x08は作りが堅牢だという話を聞いていたのでそこに惹かれたのは大きいです。同期のシステムにおいて一番怖いのは振動によるオーディオインターフェースの認識不良や故障、また物理的に配線が抜けるといったトラブルなので、ハード面の堅牢さはかなり重要です。
また、外に持ち出しての使用が前提なので1Uのラックケースに入れて持ち運べることも重要です。堅牢だけど軽くてサイズ的にも奥行きが短いので取り回しがとても楽ですね。ドラムの横で使うものなのでコンパクトでないとそもそも置けないんですよ。
US-16x08の使用感はいかがですか?
団長 : めちゃくちゃ使いやすいです。見た目がシンプルなので操作は分かりやすいですし、パソコンとの認識トラブル等も一切無く、ノンストレスで使えています。
先ほども言いましたが軽いところも凄く良いですよね。持ち出し用のオーディオインターフェースとして本当に重宝しています。
地味に便利なのはスタジオワークの際にLINE OUT 1/2だけでも物理的にノブでレベルを変えられることですね。
今後はドラムのプリプロを録るときもUS-16x08を使おうと思っているので、色々と活躍してくれそうで楽しみです。
Alternation of Generationsさんの活動以外でもUS-16x08はご使用されますか?
団長 : 使います。そもそも、僕がプロデュースしているアイドルの『OMNI666』で使うことも考えて今回US-16x08を導入しました。
OMINI666はA.O.Gがバックバンドをして僕がマニピュレーターを兼任するので、そういった意味でも使用感にはこだわって機材選定しました。
最後に今後の活動について教えてください。
団長 : まず、A.O.Gは来年以降もライブにリリースにとガツガツ活動していこうと思っています!目下の目標としては12月31日(土)に年内最後のライブが決まっているのでそこに向けて頑張ります。
NoGoDも2年9ヵ月ぶりとなるツアーが11月25日(金)から始まります。新体制で初のライブとなり年末まで7会場を回ります。会場限定のシングルもリリースしますので是非ご来場ください。 また、ギタリストの広末慧さんと組んでいるユニット、団長×広末慧も来年は有観客でライブを予定しています。
そして、僕がプロデュースするアイドルOMNI666も11月22日(火)に初ワンマンライブを開催します。 来年以降もライブとリリースを考えていますので、応援よろしくお願いします!
※2022年11月現在
Alternation of Generations
WEBサイト : https://www.kingrecords.co.jp/cs/artist/artist.aspx?artist=46344
Twitter : https://mobile.twitter.com/aog_jp_official
1stアルバム『P.O.P』 : https://www.kingrecords.co.jp/cs/g/gKICS-4083/
NoGoD
WEBサイト : https://www.nogod.jp/
団長×広末慧
WEBサイト : http://www.dancho-kei.com/
OMNI666
Twitter : https://twitter.com/OMNI666_2022
TASCAM US-16x08