インタビュー・レビュー

潮 晴男さん 4K UHDブルーレイ/マルチメディアプレーヤー『BD-MP4K』インタビュー

AV機器評論家の潮 晴男さんに、4K UHDブルーレイ/マルチメディアプレーヤー『BD-MP4K』をご試用いただき、視聴された感想を伺いました。

『BD-MP4K』に興味を持ったきっかけを教えてください。

潮 晴男さん(以下敬称略): ネットニュースでこの製品のリリースを見た時の、「TASCAMが映像機器もやるんだ」という素朴なクエスチョンがきっかけです。
TASCAMがオープンリールやデジタルレコーダー、ミキサーなど様々な音響機器を手掛けているのは知っていましたが、映像分野の製品もあったのかと思ったこと。もう一つは今、民生機でいい製品が少ないんです。
ぼくはパナソニックのDP-UB9000とパイオニアのUDP-LX800を使っているんですが、撤退してしまったブランドもあって、4Kソフトを再生できるUHD BDプレーヤーの選択肢がないんです。
まったくないわけではないですけど、自分の中では決め手に欠ける。そこで『BD-MP4K』を知って「これは使えるかもしれない」ということで、試聴機のお願いをしたんですね。

 

潮: どんな画音が出るかの期待があって、自宅の視聴室に持って来ていただいた。実機を見ると業務用機らしく筐体も薄い。あとは価格ですよね。こんなに安く作っていいのかっていう。プロ機ならこの2倍でもいいだろうと思った位で(笑)

「TASCAMがなぜ映像機器を?」ということに関してですが、実は設備機器としてラックマウントのDVDプレーヤーなどは以前から手掛けておりました。プレーヤーとしてはシンプルながら設備ユースに求められる、バランス出力やRS-232Cによる外部制御などを盛り込んだ製品になっています。

潮: そうですよね。『BD-MP4K』はバランスアウトもついてますね。でもシンプルな印象の割にはメニューでRGB、カットオフ、ゲインなどかなり細かく設定できると思う。普通の人はそこまで細かくは触らないので(笑)

 

『BD-MP4K』の前に『BD-MP1』というFull HD対応のブルーレイ/マルチメディアプレーヤーを発売しているのですが、こちらもコンパクトなラックマウントの1Uサイズで設備に求められる仕様を盛り込んでおります。今回の『BD-MP4K』は4KのUHD BDまで対応しています。業務機としては今のところ競合製品はない状態ですが、民生機まで含めると下は5万円弱位から上は15万円ほどで、もっと価格が安いものも、高いものもありますよね。

潮: 上級機だとぼくも使っているパナソニックのDP-UB9000がありますが、実勢価格で21万円くらいだから15万円台の中堅クラスのものがないんですよ。

なるほど、これらの製品は設備に特化していることもあり、民生のモデルはそこまで意識していなかったのですが、そもそもそのレンジの製品が市場にないんですね。

潮: 設備市場の反応はどうですか?

現在コロナ禍のため、例年より設備案件の更新が滞っているため、意見を吸い上げ切れていないのですが、やはり4Kであること、バランス出力、それとHIDE MENUなど公共施設の場でメニュー画面を写さない仕様や制御については高評価をいただいています。

潮: 10万円でバランス出力まで付いている。長距離引けるのは強みですね。

 

10m、20mは引きまわせないと、設備用としては成り立ちません。
ご視聴いただいたオーディオルームのシステムを教えてください。

潮: ドルビーアトモス対応の7:2:4です。AVアンプはデノンのAVC-A110でこのプリ出力をそれぞれパワーアンプに繋いでいます。

『BD-MP4K』の印象についてはいかがでしたか?

潮: 10万円で全部出来ているというのは凄いと思いました。映画作品でもセリフはしっかりと出ています。ぼくたちが一番気になるのは声なんですね。CDでもそうなんだけど、ボーカルがちゃんと聴こえないと困る。そういうニュアンスの出し方は出来ていると思いました。アナログの2chバランスアウトはもちろんですが、HDMI出力でもセリフの厚みが出ているのがいいですね。
でも映像に関しては安全パイというか、安全飛行してるって感じかな(笑)。
もちろん業務用機だから信頼性が大事なのはよくわかるけど、もう少し攻めてもいいんじゃないかっていうくらいおとなしく作っている気がしました。誰が使っても納得できるし、S/Nもすごくいいんですけど、よすぎるんですよ。
その一つが黒側の諧調。もう少し粘って欲しいなと思いました。コントラスト感も抑え気味なので白の伸びと黒側の諧調がもうちょっと欲しいかなと。

 

ビコムの8K空撮夜景「SKY WALK」のUHD BDの動画を見ながら

 

潮: レインボーブリッジのワイヤーの描き方は上級機のプレーヤーの方がクリアですね。黒側の階調ももう少し欲しい。ただこちらは調整でかなり追い込めるんじゃないか?
立体的な表現力についても、遠くの光の凝縮感などもう少し頑張れるように思いましたね。

 

同じくビコムの「SKY WALK」VUB-5713視聴しながら

 

潮: 一方で業務用として使う場合、どんなソフトが来るかわからないわけですよね。高画質なソフトばかりではなく、アマチュアが編集したソフトを再生しなければならないケースもある。結婚式場で掛けたとたんノイズだらけというのも困るでしょうから、そういう意味ではよく設計出来ているんだけど、それにしてもおとなしいかな。そんなわけで画質についてはもう少しアグレッシブな設計にしてもよかったんじゃないかなと思ったんです(笑)
『BD-MP4K』はそれだけの基礎体力を持っているからちょっともったいない気がしました。

デフォルトの設定でUHD BDのディスクを見たときはどうでしょうか。

潮: 誰が使っても画質、音質ともに合格点のデフォルト値です。これがハイエンドの民生機なら画質調整を推奨しますが、業務機の場合映像に詳しくない人もいると思いますから、デフォルトにしておけばまず破綻しない。そういった安心感はあるでしょう。

毎日現場でスタッフが電源を入れて再生する、そのままリピートするといった運用の時に、ある程度どういったメディアがきても再生ができるということは重要だと考えています。また、機能のお話をするとHIDE MENUというのがありまして、メニュー画面を表示させないものです。式場などで再生するときにメニューが表示されると興ざめしますから。
それでは音質についてお話をお伺いできますか。

潮: 音も貪欲に行こうよっていう感じ。いい意味でバランス志向ですね。

潮先生が感じた物足りなさはどこですか。

潮: 音の分解能かな。中低域にかけての分解能はもうちょっとあってもいい。
レンジ感やディティール感ももう少しあればいいかなとも思うけど、でもそんなことまで望まない。この値段にしてはよくやってると思う(笑)

 

『BD-MP4K』の音声出力はバランス、7.1ch、HDMIのAUDIO ONLYと3つありますがいかがですか。

潮: 凄いです。こんなに盛り込んでよかったの?(笑)。でも業務用機にアナログの7.1ch出力は必要だったんでしょうか?。

これは前モデルの『BD-MP1』の時からご好評をいただいておりました。

潮: 民生機の場合でもあった方がいい。民生のAVアンプを持っている人で過去に高額なモデルを手にした人は手放すに手放せない。でも古くなってしまってプリアンプ部分のプロセッサーがHDオーディオに対応していないからこのままではBDやUHD BDが楽しめないわけです。7.1chのアナログアウトをマルチチャンネルインで使うことができれば、マルチチャンネルのパワーブロックが生き返るわけですね。

設備用途の中にはシアターもありまして、そうした場所でも7.1chのアナログ出力の需要は想定しています。HDMIのマルチで出せば済むのでしょうが、施設によってはアナログ入力しかないところもありますので、対応できるようにしています。

潮: そうですね。そうした施設は当然たくさんあるだろうし、わざわざそのためにAVアンプを買わなくてもすみますからね。

大きい劇場ではデジタルミキサーがあって、ミキサー側で簡単にサラウンドが組めますので、7.1chアナログアウトの需要は結構多いと考えております。
HDMIアウトから出したオーディオの音は、先生から見てどんな感じなのでしょうか。

潮: HDMI出力だとアトモスの再生も可能ですから、そういう意味では『BD-MP4K』は映像と音声のセパレート出力は積極的に使いたいですね。業務用だからAUDIO ONLYはなしでもよかったのかもしれませんが、このあたりのこだわりはAVファンも歓迎してくれるはずです。

あとコアキシャルでデジタルアウトもありますがいかがですか?

潮: それはあった方がいいですよ。外部DACも使えるし。SA-CDとDVD-AUDIOにも対応してほしかった。

SA-CDやDVD-AUDIOの再生には対応しておりませんがBD-MVはハイレゾでの再生が可能です。

潮: ブルーレイオーディオだったら24bit/192kHzまで行けるからね。

ブルーレイプレーヤーを選ぶポイントがあれば教えてください。

潮: 映像マニアは最初に画質、次に音質。最先端のフォーマットに対応しているかはマニアの一つの基準なの。Dolbyビジョンがかかって、HDR10、オーディオフォーマットはドルビーアトモスとDTSX。これだけあればマニアの要望を満たすんじゃないでしょうか。

民生機のハイエンドなUHD BDプレーヤーと『BD-MP4K』は流通チャネルに違いはありますが、潮先生にご指摘いただいた通り、4Kブルーレイを再生できる業務用機器は今のところTASCAMだけです。

潮: 映像の世界も業務用の中で徐々に4Kや8Kに変わっています。大画面になればなるほど、解像度が必要になります。
テレビは60インチくらいから8Kモデルがある。これから100インチを超えて120インチぐらいになると16Kは必要になるかもしれません。画面が大きくなると絵が荒れてしまいますから。『BD-MP4K』はアップコンにも対応していますね?

基本的に本体で設定した解像度で出力されます。オートにした場合はTVやモニターのEDIDを見て4Kにできる場合は4Kにアップコンします。

潮: 映像は誰が見てもわかります。このモデルも細かいところを詰めていけばもっと良くなる伸びしろが残っていますから、次の製品ではそうしたところを活かしてほしいですね。

『BD-MP4K』は業務機として画、音にシビアな世界でどこまで行けるんだという目線で潮先生に試していただきました。

潮: 音に関してもう少しレンジ感が欲しかったり、ディティール感が出ればいいかなと思いますが、先ほども触れたように価格を考えるとそんな無理はさせられない。でもそう言うと進歩がなくなるので、あえて言わせてもらいました(笑)

展示会などでお客様に『BD-MP4K』を見ていただくときはきちんと4Kディスプレーで出さないとダメですね。普通のディスプレーでは魅力が伝わらないかもしれませんね(笑)

潮: そうですよ。もっと自信を持ってPRしましょう(笑)

どうもありがとうございました。

 

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