インタビュー・レビュー
レコーディングエンジニア・山口泰さん 「やっぱり音がいい、音楽的だっていうことですかね。結局仕事で使うと音は死活問題なんですね。」

山口泰さん


山口泰さん プロフィール

San Francisco State Univ. 東京電機大学にて音響工学を学び、Victor Studio よりレコーディング・エンジニアとして独立。その後 New Yorkを拠点に CHARA や Crystal Kay、Britney Spears や *NSYNCなど、多くのメジャー・アーティストの作品に携わる。9.11を期に帰国。エンジニアに加え『十五夜の宴』の音楽プロデュースや、monk beat を主宰し、ご縁のある素晴らしいミュージシャンたちと希望の音を鳴らす。"心揺らす太い音!"が信条。


ホームページ:http://monkbeat.com/

 

「DP-32の環境が生み出すサウンド」

レコーディングエンジニア山口泰さんには、DP-32をレコーディング業務にてお使いいただいており、あるアーティストのアルバム制作においては、全ての楽曲がDP-32で制作されました。その制作の中での逸話を中心に、DP-32についてインタビューに応じていただきました。山口さんのmonk beatスタジオは千葉県南房総市の山中に位置し、お寺の中にあるスタジオです。インタビュー当日は激しい雨の音を障子ごしに聞きながらのインタビューとなりました。開始前には、DP-32で制作された音源を聞かせていただきました。



「これで大丈夫?」って疑われる。でも、DP-32はDAWよりも音が良かったんです。

TEAC:まず最初に、DP-32はどのようなきっかけでご存知になったのでしょうか?

山口:新製品リリースの案内を見て、今時新しいMTR、しかもこんなに本格的な機種が出るのか!ということでびっくりして興味が沸きました。今までも色々なMTRがありましたが、やっぱりプロの現場で使おうとすると使いにくいものが多くて。階層構造が深かったり。結局DAWでいいや、っていうことになってしまうものが多かったんですが、DP-32はすぐに使うことができました。使いやすいですよ。

TEAC:このモデルでは直感操作をひとつのコンセプトにしていて、おそらく山口さんでしたら説明書を読まずに使えると思います。

山口:使えました、本当にその通りですね。ただ、まだマスタリングモードは未開拓で、これから使ってみようと思っています。

TEAC:一番気に入っているポイントはどこでしょうか?

山口:やっぱり音がいい、音楽的だっていうことですかね。結局仕事で使うと音は死活問題なんですね。どんなに使い勝手がよくてもそれはエンジニアだけの問題なので、クライアントにも納得してもらえる音でないと、DAWでやってよ、という話になってしまう。でも、DP-32はDAWより音が良かったんです。

TEAC:入り口(マイクプリやAD)の部分、録った音が良かった、ということでしょうか?

山口:うん、そう、良かった。みんな疑ってくるんですよ、「これで本当に大丈夫?」って。(笑)でも録って、聞かせてあげると、「いいねぇ。」ってなるんです。結局その感覚が最後まで忘れられなくて。最初ミックスはDAWでやってたんだけど、結局DP-32の方がいいね、ということになって。ほとんどの曲はDP-32でミックスまでやってしまいました。

TEAC:オートメーションなども使わずに本体だけでミキシングも?

山口:そうです、一発勝負です。(笑)でも、こういうの、楽しいなって。ミュージシャンもそうでした。DP-32でやってると、「編集しといて!」とか、言わないんです。「後で編集するの大変でしょ?今パンチインしたほうがいいよね。」ってなるんです。やっぱり、プレーヤーもちょっと腕試ししたいみたいな気持ちってあるんだと思います。レコーディングって、そういう場所でもあると。逃げ道がない環境で、「よっしゃ!」って気合を入れて演奏すると、緊張感が音に入ってきてそれが聴取者に感動というカタチに変化して伝わるんだと思います。

TEAC:たしかにさっきのギターの音も、人がそこにいる感じが出ているというか。臨場感がありましたね。

山口:でしょ?そうなんです。色々な意味で人が見える音なんですね。録れる音もそうですが、開発の過程でプリアンプのパーツ選びとか、使用感とか、開発した人の情熱が僕らにも感じられるんです。

TEAC:では、機械的に音がいいというだけではなく、この環境がいい音に繋がっているということでしょうか。

山口:そういうことでしょうね。これまでもMTRを作られているじゃないですか。使っていると、そのこだわりみたいのは感じることができるんです。まず音がよくて、一発録りで緊張感があるプレイを録音して、結果的に音がいい。
 


フェーダーがたくさんあるって、大事なことです。

TEAC:エフェクトなどはお使いいただいたのでしょうか?

山口:コンプが良かった!使い勝手もシンプルで使いやすくて。別に細かいパラメーターをいじれるのがプロという訳ではないので、これで十分だなって感じました。DP-32はホントにシンプルでいいんです。すぐに音出るし。出音もいいですよ。(もう一度音源を再生し、フェーダーでレベル調整をしていただきました。)

TEAC:接続はDP-32からパワーアンプに直接でしょうか?

山口:そうです。いつも使っているDAWのシステムと違いはありますが、遜色ない音ですよ。出音を含めて、ものすごく説得力ある音ですね。あと、やっぱりこれ(フェーダーを操作しながら)がいいんですよ。フェーダーがたくさんあるって、やっぱりミックスでは大事なことです。

TEAC:このボーカルの音はどのマイクですか?聞いたことのない音だなと思ったんですが、、、。

山口:でしょ?これ(マイクを指差す)です。ダイナミックマイクが好きでよく使うんですが、DP-32はダイナミックマイクとも相性がいいみたいですね。このスタジオも障子や畳がいい感じに吸音するので、それもあるかも知れませんね。そういえば、DP-32は海外でも使えるんですか?

TEAC:電源アダプターは100-240V仕様なので、この範囲であれば使えます。プラグはそろえていただく必要がありますが、、、。

山口:いや、DP-32を使ってみて、いつかこれで世界を周って録音の旅をしたいなと思ったんです。これだけあればいいなって。それくらいいいです。作っていただいてありがとうございます。

TEAC:そこまでいっていただけると本当に嬉しく思います。その際は是非できた音源を聞かせてください。本日はありがとうございました。

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