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PA/SRエンジニア・三好祐貴さん インタビュー 「もしWi-Fi機能がなくても、十分使えるハンディレコーダー」

下北沢のライブハウスGARDENを中心に活躍されるPAエンジニア三好 祐貴さんは、PA業務において『DR-44WL』をお使いいただいています。使用方法や、どのような点がPA業務において「使える」点なのか、インタビューに応えて頂きました。

“+4dBuのラインレベルが直接入力できる、これはすごく便利。”

TEAC:
まず最初に、『DR-44WL』はどのような場面でお使いいただいているのでしょうか?
三好さん
(以下敬称略):
主にライブ中に会場の音を『DR-44WL』で録音して、後で自分のミックスを確認する用途で使っています。後で家に帰ってから聞いています。もちろん、出演者に渡すための音源のバックアップという目的もあります。
TEAC:
基本的には出演者さんに渡す音源ではなく自分用、ということですね。
三好:
そうですね。ちなみに出演者用はライン(PAコンソール出力)をTASCAM CD-RW900MKIIで直接録音したものを渡しています。箱(ライブハウス)のサイズやギターアンプの音量によってはギターアンプのフェーダーを上げられないこともあり、マイクだけの方が良いこともありますね。ライン出力だとギターアンプが小さいという。そういう場合はこういったハンディレコーダーの方が実際のライブに近い音で聞けますね。
TEAC:
内蔵マイクとライン出力のバックアップ、ということは4トラック使っての録音になるのでしょうか。
三好:
そうですね。本体のマイクで会場の音を録音し、コンソールの出力を直接XLR端子に入力して録音することが多いです。『DR-44WL』は+4dBuで直接入力できるので、コンソールのマトリクスアウトからXLRで直接接続しています。これはものすごく便利です。
TEAC:
直接接続できることが便利、ということでしょうか?
三好:
+4dBuのラインレベルで直接接続できるレコーダーって少ないんですよ。現場で『DR-44WL』を貸すこともあるんですが、本体を貸すと「変換ケーブル持ってる?」と聞かれますね、+4dBuで入力できると思っていないエンジニアさんが多いので。「そのまま+4dBuで入りますよ」と教えると、驚かれます。XLR接続だと接続も確実だし、ロックもかかるので安心して使えますね。

“特に中低域。キックやベースが自然な音で録音できる。”

TEAC:
本体マイクの音はいかがでしょうか?
三好:
マイクの音いいですよ。他社のハンディレコーダーだと、低域がブーミーになりすぎるというか、ボワボワというか。低域の解像度が良くないものが多かったです。でも『DR-44WL』はLCFをONにしなくてもクリアな低音が録れます。あと、高域のレスポンスがいいですね。
TEAC:
開発過程で色々とチューニングしましたので、そういった評価を頂けると非常に嬉しいですね。特に低音に関してはお客様のこだわりも強いので、入念にチューニングしました。
三好:
低音はいい感じですよ。特に中低域が自然に録音できます。中低域は抜けすぎると不自然なんです。ベースの音は300~400Hz、キックも同じくらいの帯域が実は大事。単純に低音だけ出ている機種だとキックで「ボン!」とは言うけど実がないというか。このあたりが自然に録れるというのはいいですね。
TEAC:
どのフォーマットで録音することが多いですか?
三好さん:
基本的には24bit/48kHzです。収録が入る場合は、バックアップとしても使えるように24bit/96kHzで録音します。96kHz対応は嬉しいです。
TEAC:
Wi-Fiリモートはお使いになっていますか?
三好:
使ってますよ。卓の向こう側に置くこともあるので、そういう時はアプリから操作しています。これは便利です。特に良いのが、レベルが確認できることと、録音レベルを遠隔操作できる点ですね。録音しながら「ちょっとレベルが大きいな」という時に、気兼ねなく録音レベルを操作できます。メーターの反応も本体ほどではないですが、特に実用上問題ないレベルです。

“WAV/MP3の同時録音ができる、これは斬新!”

TEAC:
特に便利だなと思った機能はありますか?
三好さん:
デュアルフォーマットレコーディング機能、これは斬新!実は最初、デュアルレコーディング機能を知らなかったんです。(笑)触っているうちにこの「DUAL REC」って何?と思って。「LEVEL」と「FORMAT」が選べるな、、、って。もしかして違うフォーマットで同時に録れるの??と思って、試しに使ってみました。終演後に見たら「WAVとMP3が出来てるじゃん!」って。(笑)すごい便利です。
TEAC:
ありがとうございます。企画時に、録音後にMP3変換するのって結構面倒だよね?という話になり、盛り込んだ機能です。
三好:
保存用や、収録用のバックアップはやっぱり非圧縮がいいんですが、ミュージシャンに渡す場合はMP3で十分なことがほとんどなんですよ。アーティストのマネージャーさんとかに渡すには非圧縮だとサイズが大きすぎるんですよ。
TEAC:
MP3でも音質は問題ないでしょうか?
三好:
確かにWAVとMP3で音は違いますが、ライブの確認用なら全く問題ないです。MP3と言っても、MP3に圧縮されるまでの部分で音は決まってますからね。
TEAC:
今後どのような使い方を考えていますか?
三好:
MTR機能はまだ使っていないです(笑)。エンジニアとしては使うシチュエーションが無いのですが、アーティストとしては便利ですよね。リズムだけの音源にアコギを簡単に重ねたりできますし。今後使ってみたいですね。
TEAC:
『DR-44WL』をまとめて一言お願いします。
三好さん:
XLRで+4dBu入力できて、マイクとライン出力の4トラック同時に録音できて、場合によってはWAVとMP3同時に録れる。マイクの音も問題なし。『DR-44WL』は他の要素がなくなっても、これだけで満足できます。もちろんWi-Fiは画期的で便利ですが、Wi-Fiがなくても十分使えるレコーダーだと思いました。
TEAC:
本日はどうもありがとうございました。

プロフィール

三好 祐貴さん

下北沢GARDENを中心に活躍するPA/SRエンジニア。その安定したサウンドには定評があり、若手アーティストから国内メジャーアーティスト、海外アーティストの来日公演まで幅広く活躍している。

取材協力
下北沢GARDEN(運営:株式会社RAWTIC)
http://www.gar-den.in/

下北沢GARDEN様は、間口7.5mのステージ、FOHだけでなくモニターコンソールを備えた本格的な音響設備を備えたライブハウスです。インタビューに登場したCD-RW900MKIIのほか、SS-CDR200、MD-CD1MKIIなどのTASCAM機器をお使いいただいています。

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