インタビュー・レビュー
大北栄人さん | 役者一人一人にDR-10CSをつけてワンマンで撮影

人気ポータルサイト「デイリーポータルZ」やコントユニット「明日のアー」でご活躍している大北栄人さん。ショートムービー『Windows Update は突然に』の制作で、セリフの録音にDR-10Cシリーズ(DR-10CS)を使用していただきました。ワンマンで臨んだ撮影の中、DR-10Cを使用した感想をレビューしていただきました。

ショートムービー『Windows Update は突然に』トレーラー

メイキングはこちら
突然はじまるWindowsアップデートのいらいらを映像化しました - デイリーポータルZ:@nifty

使い方

今回ぼくらはDR-10CSを使って、ほぼ音声さんなしで短編映画を撮りました。DR-10CSの本来の使い方はワイヤレスマイクのバックアップだと思うんですけど、これをメイン収録機にしたんです。
短編映画といってもWebサイト上の企画です。音声さん呼ぶ予算もない。お友達の音声さんに相談したところDR-10Cを使えばいいんじゃないですかと助言をもらいました。

人の声→ラベリアマイク→DR-10CS→2.4Ghz帯のワイヤレスマイクの送信機→受信機→カメラinputへ

というように使ったんですね。カメラinputに入る音声はあくまでガイドです。編集で使うのはDR-10Cで録音した音を使います。人数分収録して編集段階で映像にガイドで入ってる音と合わせます。そこだけちょっぴり手間ですが。
ガイドの必要がなかったらワイヤレスで飛ばさなくていいし、DR-10CSでなくてもICレコーダーでいけるかもしれないですね。ただ、ガイドないと芝居の確認ができないので怖い。「助けて…」とか知らん人の声が入ってるかもしれないですから。入ってたら余計怖いんですけども。
人数分使うといっても役者の同時出演が大体2人だったんです。5人くらいの場面ではDRをすすめてくれた音声の池田くんってのが来てくれたんですけど、彼は自分のDR-10Cを2つとガンマイクとしてDR-10SGを持ってきたんです。ガンマイクもそれかと。
「なるほど、良いガンマイクの定義を"SNが良いもの"とするならば、DR-10SGこそめっちゃいいガンマイクということ?」と訊いてみると、「いや、こんなにDR-10そろうの見たことなかったから」というんですよ。
ドラゴンボールじゃないんだぞ、と。そっと心の中で思いましたがここでこっそり言います。 

役者にマイクつけるのも自分でやります

操作性について

DR-10CSは小さくてシンプルです。レコーダーというものをさわったことがあるなら説明書なくても使えるくらいわかりやすい。そんで小さいんですよ。これって物としていいなーと。
必要十分な物を持つ喜びってあるじゃないですか。靴べらとか。靴べら強く握りしめて人生の喜び噛み締めてる人は見たことないですけど、ステンレスのかっこいい靴べらとか持っててうれしいですよね。ゆで卵切り器とか。必要十分なものには、おまえはそれだけしかできないんだよなあ、という複雑な喜びがあります。
でも小さい分、電源のオンオフボタンの押しにくさがおじいちゃんおばあちゃんに厳しいかなと思うんですけど、けどまあ"らくらくホン"みたいなね、操作性については「すべてがでかい」方針のものが後々出るんじゃないですかね。

役者が多い場面では音声さんにも来てもらった

そのときのDR-10の数。ドラゴンボールじゃないんだ

音質について

音質はいいですねー。他社レコーダーとの比較はわからないですよ。でもワイヤレスマイクよりかは全然良い。 前年はB帯のワイヤレスマイクをレコーダーに飛ばして録音してたんですよ。それに比べたらSNがドーンとよくなりホワイトノイズが減りました。SNがドーンという表現もよくわからないですね。専門知識がないのでなんと言えばいいのかわからないんですけど、「スーン。」くらいがいいですかね。スーンって感じで静かになったのはよかったな~と。
つけてたマイクは2000円くらいのものなんですけど、それでもそんなに不満はないですね。イコライジングの腕もないんですけど、これくらい聞きとれたらいいわという低めの志でやってますのでもう全然これでいい。24bitで録れるのも小さい音を大きくするときにいいですね。

小さくて軽いのでガムテープで留められてます

機能について

もともと探してたのはデュアルレコーディングができるものなんです。ふつうのとそれより小さい音を同時に録音してくれて過大入力の音割れの保険となるようなもの。なのでデュアルレコーディングがあるのがまず最高。
あとは「オートレベル録音けっこう使えますよ」とメーカーの人に聞いて、本番でも使ってたんですけど、たしかに便利に使えました。デュアルレコーディングの保険もあるから、オートレベルとデュアルRECに設定したらあとは録音をオンにするだけなんで簡単でした。 リミッターがあるのも安心です。リミッターで音質がどう変わるのかまでは把握してないんですけど、人の声くらいだと気にならなかったです。あとはプラグインパワーのマイクだったんですけど、それに対応してくれるのもよかったです。
しかしそれでも音割れというのは起こるもので。使い方に慣れてなくてリミッターかけ忘れたのかもしれないですが。ワンマンいろんなことしてるとヒューマンエラー起こりまくりです。で、そういうときに保険のデュアルレコーディングが6dB小さいレベルなんですね。

TASCAMにこびた一枚! お世話になりました!

実際に使ってみての感想

とにかく一人で運用できたというのがよかった。価格もB帯のワイヤレスに比べたらがぜん安い。「ガタッ!!」って書くくらい安い。あ、半角の「ガタッ!!」ですね。ガイド用のブルートゥースのワイヤレスマイクと収録時のラベリアマイク買ってきてもうまくやれば全部で3万5千円くらいで済むんじゃないですか。
"安くて一人でできる"っていうのはWebのおもしろ動画をやってる身としてはもう卒倒しそうなくらい最高です。だって、今回ぼくらが撮った短編映画のテーマは「肝心なところでWindowsアップデートに邪魔される恋愛ドラマ」だったんですよ。そんな企画にどれだけ予算つくんですかね。
DR-10CSがあれば音声さん要らないということではないんです。予算ついたらぜったい呼びます。一人だとミスが生まれるし、プロに任せた方が音もいいし。でもこのDR-10CSのおかげで世の中にくだらないものが生まれるんです。
「君ぃ、そんなものになんの意味があるのかね?」
そんな声をかいくぐって意味のなさそうなものを創出するためにも、DR-10CSとワンマン撮影のスタイルは世の中に必要とされてるし十分に応えてくれてます。そう、世の中の「ゆで卵を等間隔でスパッと切りたいんだよな~」という声に応えたゆで卵切り器のように!!

プロフィール

大北栄人さん

大北栄人 さん

ライター・動画制作・明日のアー主宰。監督したデイリーポータルZ内の動画コーナー・プープーテレビの短編映画『iPhoneがバリバリ伝説』がしたまちコメディ大賞2016で観客賞と準グランプリのW受賞。明日のアーは人気で評判のコントユニット。

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