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カメラマン・田村雄介さん 「総合的に見た場合、DR-10SGの最大の利点はフレキシブルさではないかと思います」

ご自身の作品から企業・プロジェクト用など多くの映像制作を手掛けるカメラマンの田村雄介さんに、『DR-10SG』を使用した撮影についてお伺いしました。

TEAC:今回、『DR-10SG』をお使い頂いた撮影でのセッティングを教えてください。

田村さん(以下敬称略):今回は、家族旅行でホームビデオを撮る際にBlackMagicDesignのURSA Mini4.6Kと合わせて使用しました。

マイクのセッティングはリミッターをオン、同時にデュアル録音機能をオンにし、EQはNATURALを選択、48kHz/24bitで収録しています。オートレベルは今回使用していませんが、レベルオーバーへのバックアップになるデュアル録音機能と併せて使用すると、音声周りの機能が充実していないカメラや環境変化の大きいワンマン撮影をする際に、非常に強力な武器になります。音声さんのテクニックやマニュアルで音を録ることの重要さは重々承知の上での話にはなりますが、撮影現場や予算、規模などによってはどうしても手が足りない場面というのは存在します。イコライザーやローカットなどは後処理でもある程度追い込めますが、ピークを越えて音が歪んでしまった場合や録音レベルが小さすぎた場合の復旧は非常に難しくなります。そういった事が容易く起こり得るような環境下での撮影時、先ほどのリミッターとオートレベル、デュアル録音でセッティングができるというのは非常に心強い大きな武器となります。
DR-10SG

TEAC:ワンマンオペレーションでの収録を多くこなされていますが、普段の撮影では音声収録に関してどのようなことに気を使われていますか?

田村:現場では慌ただしいイベントやカメラの設置に関して自由がきかない場合もあり、常に音声をモニタリングできるとは限りません。ワンマン撮影時に一番怖い事は、録ったつもりが全く録れていなかったということです。ものすごく基本的なところですが、例えばマイクのバッテリー切れや突然の不調などでカメラに音が届いていなかった、といった事はどんなに事前の確認をしていても思いもよらないところで起こり得ます。これはプロですらあり得る事なのでアマチュアの方などは更にそういったケースに遭遇する場合は多いのではないでしょうか。その最悪の事態を回避するために録音系統を増やすという事は、事故防止の一つの有効な手段となります。今は音声同期の手段も様々増えていて、しかも同期精度も格段に上がっていると感じます。後処理の一手間で事故リスクを減らせるならば録音系統を増やすという選択肢を選びたいところです。インタビューなどセッティングの時間が取れる撮影に関してはもちろん相応の準備をしますが、例えば野外でのイベントや慌ただしい現場のような、いつ突然の大音量が流れるかわからない環境、マイクの音を直接レコーダーなどにもらえない会場で様々な声の大きさの登壇者の声を拾う場合などはとても重宝します。また、フリーランスカメラマンとして各案件で様々なカメラを使用する中、DSLRなど音声収録に関する機能が充実していないカメラを使用する場合もあります。そういった場合にはオンカメラマイクとして使用しながらも、しっかりとした独立録音ができるのは非常にありがたいところです。そして今回の『DR-10SG』にはさらに様々な環境に対応できるよう、先に挙げたリミッターやオートレベル、デュアル録音といった機能が用意されている。さらに心底ありがたい部分です。

TEAC:『DR-10SG』を使用してみて気に入った部分や機能は何ですか?

田村:今回リミッターを使ってみましたが、これがかなり絶妙な慎重さを持った処理をしてくれるので、環境によってはとても大きな武器となると感じました。またデュアル録音機能もバックアップとして非常に安心感があります。野外のイベントでごく普通の環境音レベルから目の前で突然ブラスバンドの演奏が始まるような瞬間がありましたが、上記の機能の組み合わせでほぼロスなく録りきれたのは驚きでした。また参考としてあげたホームビデオの中にもありますが、指向性も好ましく、遠距離で響く音や遠くで笑う息子の声などはとても良い状態で拾えており、狙った音を的確におさえることができました。そして付属のウィンドスクリーンを使用している際には吹かれにもなかなか強いという印象をもちました。総合的に見た場合、『DR-10SG』の最大の利点はフレキシブルさではないかと思います。リミッターやオートレベル機能を使用せずにマニュアルにした場合でもデュアル録音機能がある程度救ってくれる、後処理の時間が取れないような案件の場合は付属のアッテネーターケーブルを使用して直接カメラに音声を入力できる、ローカット、スレートトーンの挿入、EQプリセットの豊富さなど、基本機能が充実していてシーンごとに様々な使い方ができるというのは、機材進化の波に溺れる昨今、長く便利に使用できる機材になりそうです。 

さらに、それに加えてこのマイク、とにかく軽い。大きさの見た目に反して、ちょっと戸惑ってしまうくらい軽いのです。最初に持った際は、「こんなに軽くて大丈夫?」と思うほどでしたが、使用しているうちに「軽さは正義!軽い事は良い事だ!」と心境も変化していきました。重いカメラを使用している際は微差となるのですが、DSLRなどを使用している際は顕著に差が出ます。例えば2016年現在流行っているDJIのOSMOなどで使用する場合はマウントの仕方にもよりますがとても合わせやすいと思います。そしてこの軽さを支える単4形電池一本駆動。バッテリーライフも、一本で半日以上は持つ印象でした。丸一日の撮影でも単4形電池二本で賄えるというのはありがたいところです。特に僕の撮影スタイルでいうとイベントの撮影時など音は回しっぱなしにして、編集前に映像と同期させる基準トラックとして音声トラックを使用する場合もあります。バッテリーが長持ちするというのはそういった面でもありがたい部分です。
DR-10SG

TEAC:カメラ用のマイクは製品として多く存在しますが、『DR-10SG』の肝心の音質についてはいかがでしょうか。

田村:音質に関しては様々な好みもあり、一概には非常に難しいところではありますが、「EQ:NATURAL」はフラットな印象があります。これはBGMに上乗せする音としては大変良好で、引っ込みすぎず主張しすぎずの良いバランスと感じました。使用目的に合わせイコライザーで音質を変えられるので、色々試してみると思わぬ組み合わせで良い結果が出ると思います。『DR-10SG』は自社設計のマイクカプセルという事ですが、他社製品含め様々使ってきた中でもど真ん中を行くような音質と感じました。DSLR用でメジャーなマイクとして使用してきたショットガンタイプのマイクと比較しても納得のいく音質ではないでしょうか。

TEAC:イコライザーのプリセットについては試聴を繰り返し行い、試行錯誤を重ねた点なので、我々としても是非試して頂きたいポイントです。

田村:現在の幅広い規模の現場ではどうしても苦しい部分が各所に出てくるというのは、プロアマ問わず皆さん感じているのではないでしょうか。特に私も含めDSLRムービーから本格的に動画を始めた方にとって、音声関係は未だに大変悩ましい部分かと思われます。この『DR-10SG』はアマチュアの方からプロユースまで、対応できる幅を広げてくれると強く感じました。ショットガンタイプのマイクを装備しつつ、リミッターやオートレベル機能、デュアル録音機能でのバックアップレコーディングなどの機能が豊富に積まれた『DR-10SG』をどう活かすか、是非皆さんに試してみてほしいと感じました。

TEAC:今後も制作にご活用頂きたいと思います。ありがとうございました。

田村 雄介さん

田村 雄介さん

2011年4月よりフリーランスとして独立。様々な経験を生かした総合的な視点からなる一貫性をもった映像制作を主として多種多様な企業広告やアーティストのプロモーション等に関わり、幅広く要求されるクリエイティブ一つ一つと真摯に向き合うことを心がける。

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