tascam logo

開発インタビュー:8入力/8出力マトリクスミキサー『MX-8A』(久保 秀樹)

8入力/8出力マトリクスミキサー『MX-8A』の開発に携わった久保 秀樹に開発当時の話を聞きました。

 

今回担当した機種に関して教えて下さい。

MX-8A

『MX-8A』は、アナログ8IN 8OUTのマトリクスミキサーなのですが、スイッチ類が全然なくて操作を直接本体で出来ない製品です。操作系は全てアプリで制御する機器で、私はそのアプリを作っています。操作するアプリは2つあって、機材を設置する人もしくは管理する人が使うような規模の大きい管理者用アプリとユーザー向けのアプリです。前者が『TASCAM MX CONNECT』後者が『TACAM EZ CONNECT』です。アプリの仕様でまず何をするか、それには何の画面が必要か。そして画面のデザインが出てきたら、それを実装する。製品に対して、最初から最後まで関わってきました。

TASCAM MX CONNECT
TACAM EZ CONNECT

 

開発中は色々とご苦労があったと推察します。

TASCAM SS250 CONTROL

まず1人で4つの OS に対応するアプリを書いているので、それが一番大変です。
4つのOSへの対応は、TASCAM SS250 CONTROLというSS-CDR250Nを操作するアプリを作ったのが最初です。これまでは、iOSはXcodeというAppleの環境で、AndroidはAndroid Studioという環境で2人が別々に実装しているんです。2馬力で2つのアプリだったものを1馬力で4つのアプリができるようになったのが、前回のTASCAM SS250 CONTROLです。

 

TASCAM SS250 CONTROLの経験は活かされていますか?

今回、TASCAM SS250 CONTROLの経験はもう存分に活かしていますね。ソースコードの作り方と何から何まで。

 

企画・デザイン部門との連携は如何でしたか?

まず、今回の作業規模の方がTASCAM SS250 CONTROLと比べて大きい上に、前回は本体に操作子があって同じものをアプリで出来るようにすれば良かったんです。今回はどうやって操作しようかと考えるとこから始まったので、事前の仕様打ち合わせに数ヶ月かけています。そのあたり大変でしたね。

 

製品の仕様に関してお聞かせ下さい。

製品を使うケースには何パターンかあって、それに合致するように作っています。例えば、結婚式場で使うんだったら司会者がいて、司会者が何をいじるだろうとか、その時にこういう機能がないとダメとかそういうのは不足ないようにしています。

 

アプリは、どのようにつなぐのでしょう?

アプリは、ローカルネットワーク経由で『MX-8A』と接続します。それが有線か無線かは問いません。普通のモバイル機器だったWi-Fi経由でルーターを挟んで本体と接続する感じですね。パソコンだったら有線のことが多いと思います。

 

マトリックスミキサーは、TASCAM初のジャンルの製品ですが、TASCAMらしさを出すという命題の中で拘った部分はどのような所でしょうか。

今回、担当チームでは、フェーダーの長さを長く取るという所に拘って、それを実現するためにデザインも出来るだけフェーダー領域を大きく取って他の操作子をバランス良く配置する。そういう拘りはありました。
やっぱり、ユーザーの方に使って頂きやすくというのはありました。ボタンも小さくなり過ぎないようにしようとか。

 

これからユーザーの皆様に製品を使って頂くことになりますが、どんな想いをお持ちですか?

やっぱり毎日使って欲しいと言うか、毎日使えるようなものにしてあるし、日々の運用に手間はかからないような出来になっています。
例えば、日々の運用の中ではプリセット画面と『TASCAM EZ CONNECT』さえあれば簡単な操作ができるようにしてあるので、毎日気軽に使っていただければと思います 。

 

久保さんのモノつくりに対する哲学を教えて貰えますか?

使いやすいっていうことを、すごく重視していて。使いづらかったら、使わなくなっちゃうじゃないですか。
仕様を決める時から一番それを考えていて。例えば、あれもこれも入れてくれという要求が一杯出てくるんですけれど、それを断ることも大事かなと。自分の中で考えが決まったことであれば、私は異を唱えることも厭わないタイプだと思います。
ただ意見を発する方の事情もわかります。この機能があると、こういう現場で便利だよという話も分かります。だから、その人が何でそれを言ったかを考えて、じゃあこういう機能にすれば、もっと使い勝手もいいじゃない? そういう提案をしていくことで、使って頂きやすいモノを送り出してきたつもりだし、これからも作っていきたいと思いますね。

 

開発者プロフィール

ティアック株式会社
開発統括部 開発2部 ファームウェア開発課
久保秀樹

開発担当者一覧

松井尚人、後藤秀明、森下衛、山﨑暢、坂口充洋、久保秀樹

 

SHARE

特設サイト