導入事例
『第9回AKB48選抜総選挙』中継車収録システム

『第9回AKB48選抜総選挙』での音声中継車収録システムにDA-6400dp, DanteインターフェースカードのIF-DA64, MADIインターフェースカードのIF-MA64/EX、及びCG-2000が使用されました。 記録的な豪雨により、場所の変更を余儀なくされるというハプニングもありましたが、総選挙が始まると終始穏やかなムードで現場スタッフのAKB愛を感じる現場でした。レコーディングシステムの設計を行った有限会社サードウェーブ 浜里稔さんにお話を伺いました。

 

ティアック:今回のシステムでDA-6400dpシステム、CG-2000を導入された理由を教えてください。

浜里さん(以下敬称略):『第9回 AKB48 選抜総選挙』 収録システム構築を考えた時、96tr収録できる安定したバックアップ機器として、DA-6400のシンプルなシステムと安定性はとても魅力でした。今回のシステムはDanteとMADIが混在しているので、その変換器としても使え、機材的に制約がある沖縄ではそうしたDA-6400の多くの機能を駆使して安定したシステムを構築出来ることが最大の理由です。
CG-2000はレコーディングコーディネーターのCGF鶴田氏からのリクエストでシステムに導入しました。

~株式会社チェリーガンズファクトリー 鶴田浩人氏談~

中継車からのビデオシンク信号をCG-2000でリジェネレートし、音声車内の機器の全てのマスタークロックにすることにより、映像と音の同期はもちろん、途中で何らかのビデオシンク信号の断が有った場合でも、これまで受けていたビデオシンク信号に即したマスタークロックをジェネレートし続けて、再び、ビデオシンク信号が復帰した場合も、音声機器の動作が影響を受けないシステムを構築できる。

中継車内に設置されたCG-2000, DA-6400dp
技術解説:クロックのドロップアウト時および復帰時に、ノイズや音切れを発生させないグリッチレス リロック回路
CG-2000では常時外部リファレンスクロックを計測し、クロックのドロップアウトが発生した際に高性能ホールドオーバー技術にて疑似的なリファレンスクロックを保持します。その間、ビデオリファレンスとワードクロックの位相は保持された状態を維持し、ドロップアウトからの復帰時にグリッチを出すことなく復帰したリファレンスへ再同期を行うことで、映像/音声のノイズや音切れを防ぎます。
予定されていたシステム図

 

ティアック:システム図を拝見するとDanteとMADIが混在するシステムですが、何か理由があったのでしょうか?

浜里:映像中継車からのタイムコードを受けてDAWを回さなくてはならず、弊社の所有機材の関係でpro toolsをMADIで稼働させる必要があったためです。
沖縄という離島県で、機材も県内で揃えられるメインミキサーとしてYAMAHA CL-5/QL5 を選んだ関係でDante/MADI混在のシステムになってしまいました。DA-6400dpはタイムコードも受けられるので。

ティアック:レコーダーとしてDAWが3台にDA-6400dp。今までDAWとバックアップにDA-6400dpの組み合わせはよくある組み合わせでしたが、トータルで4セットでの収録と、ここまで多くのレコーダーを回すシステムは初めてでした。これだけ多くのレコーダーを回すという事に何か背景やポリシーがあるのでしょうか?

浜里:音声中継車等で常に稼働している収録システムではなく、仮設の収録システムなのでどんなトラブルが起こるか予測できないので、多くのDAWを稼働させています。メインDAWとしてPro Toolsシステム、サブシステムとしてStudio One、バックアップとしてDA-6400dpを使用しました。ステージサイドでのDAWとしてMacBook Pro + Studio Oneを使用していますが、これはステージラックRio3224から直接Danteでパッチしています。万が一、音声中継車のMIXERでトラブルがあっても収録できるようにするためのセイフティーです。
仮設の収録システムで、音声中継車の限られたスペースの中で、DA-6400dpのような1Uで64トラック収録可能な機器は魅力的です。

MADI, Danteが混在したシステム
中継車の内部

 

ティアック:残念ながら記録的な豪雨で、急遽場所を変えて選抜総選挙開票イベントとなりましたがシステムの変更などはあったのですか?

浜里:システム的な変更はありませんでしたが、回線数の減少により、使わなくなった機材はありました。
Danteシステムではルーティングの変更はDante Controllerでフレキシブルに行えるので便利です。

変更後のシステム図

 

ティアック:システムのサンプリング周波数、ビット長、DA-6400dpでの収録チャンネルはどれ位でしたか?

浜里:48KHz / 24bitです。コンサートの収録トラックは96trでしたが、選抜総選挙開票イベントのみになり27trになってしまいました。ので、2台目のDA-6400dpはバックアップのバックアップとして使いました。

ティアック:実際に収録を終えてみて、DA-6400dpシステム、CG-2000は期待通りのパフォーマンスでしたでしょうか?

浜里:DA-6400dpは事前の検証から色々操作してみましたが、とてもわかりやすく優れた操作性でした。安定性という部分も期待以上の安心感がありました。
CG-2000も複雑な今回のシステムの中で、一度もクロックエラーも起きずに安定したクロックを供給してくれました。

事前の検証の様子

 

ティアック:特に良かった点などあれば教えてください。

浜里:やはり専用機としての安定性ですね。それと今回DA-6400dpを使いたかった理由であるDante/MADI変換です。変換ができてマルチトラック収録もできる。コストパフォーマンスとしては最高ですね!

ティアック:音質的に何か感想があればお願いします。

浜里:収録後、スタジオにて各DAWのデータの聴き比べをしましたが、音質的にもとても満足出来る音でした。

ティアック:今後TASACMに要望/期待する事があれば教えてください。

浜里:ライブレコーディングは年々多チャンネル化が進んでいるので、DA-6400dpでいえばカスケード機能があればよりシンプルに運用できるかと。iPadアプリでシステム設定など操作出来れば、もっと楽に操作できるかも、、、と思いました。
最近のTASACM製品はDA-3000など高音質な機材を多数出しているので、これから出てくる商品が楽しみです。

ティアック:現在V2.00のリリース準備※を行っており、カスケード機能についても対応する予定です。 ご期待ください。 本日はありがとうございました。
※2017年11月現在

 

プロフィール

浜里 稔さん

浜里 稔 さん

プロデューサー/レコーディングエンジニア

1995年 有限会社 サードウェイブ設立 取締役社長
楽器レンタル/レコーディングスタジオを経営しながらアーティストマネージメントやサウンドプロデューサーとしても活躍。
初期のMONGOL800のプロデュース/エンジニアを務めインディーズとしては初めて300万枚のヒットを記録。
2004年サードガレージスタジオを設立。
近年は沖縄でのライブレコーディングも数多く手がける。

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