元C-C-Bのボーカル、ドラムで現在はソロで活躍される人気ドラマー笠浩二さんのライブDVD「笠浩二 Live Tour 2017 feat.米川英之」が発売されました。
今回のDVD収録では、64チャンネル デジタルマルチトラックレコーダーTASCAM DA-6400dp、クロックジェネレーター CG-1800が使用されました。
収録にあたって運用方法や使用感などをプロデューサーの松木隆裕さんとレコーディング、ミキシングエンジニアの森元浩二さんに伺いました。
ティアック:今回DA-6400dpを使用されたきっかけを教えてください。
松木さん(以下敬称略):このぐらいの規模のライブハウスでは、スプリッターを経由して、アナログ信号を分岐させる録音のセッティングが厳しいこともあって、ハウスコンソールからMADIで分岐するセッティングが大前提でした。
今までいろいろMADI機器を試してきたんですけど、PCベースのレコーディングだとそのときのハードディスク(HD)のコンディションで音が飛ぶことが結構あって、ハードウェアのレコーダーだと安心じゃないかなと考えました。
ティアック:音が飛ぶことがあるんですね。
松木:タイムコードは正常でも、音が抜けてることがたまにあるんですよ。Raid組んでSATAで繋いだ場合に飛んだことが何度かあって、サブマシンで録れたみたいなことがありました。Thunderbolt経由のレコーディングは今のところ問題ないですけどね。
ただDAWの録音は時に動作が重かったり、そのときのPCの状態に左右されることもあるじゃないですか。その点、ハードウェアのレコーダーは安心感がありますよね。
ティアック:そうなんですね。
松木:パソコンで録音するときは、ノートのMacbook Airとかで録るので、なるべく動作が軽いDAWを使っているんですけど、少しでも不安を抱えつつ録音するんだったらハードのレコーダーも試してみるかっていう(笑)
ティアック:録音システムの概要をお伺いできますか?YAMAHAのデジタルコンソールからそのまま分岐してDA-6400dpへ行く形でしょうか。
松木:YAMAHAのCLからMADIカードで出して、そのまま直接接続してますね。
ティアック:CLのMADIカードは16chでしたか。多数の入力を最終的にまとめてDA-6400dpに接続された形ですよね。
松木:16chのカードが3枚刺さっていて、マスターが1枚とスレーブが2枚でした。
ティアック:合計で48chですね。48chはフルで録音されましたか。
松木:ほぼフルで録ってるよね?
森元さん(以下敬称略):そんなに使ってない。40chぐらい。
ティアック:それでは、録音のフォーマットを教えてください。
森元:コンソールが48kHzなんで、24Bit/48kHzですね。
ティアック:もしコンソールが96kHzに対応してれば、そのセッティングでPAや録音もやられますか?
森元:重いので、96kHzでやる人は少ないですね。
松木:YAMAHAのCLが入ってる所が多いから、48kHzですね。
森元:TASCAM DA-6400dpはMADIだけでしたっけ。Danteはないんでしたっけ?
ティアック:Danteもございます。MADIとDanteどちらもオプションカードがありお選びいただけます。
松木:場合によってはTASCAM DA-6400dpを使う時はYAMAHAのステージボックスから、Rio経由でDanteで録るってことも出来るから・・・
森元:コンソールがいらないっていう。
松木:そういう風に考えるとね、いろんなところで対応できますね。
ティアック:スロットが2つあるので、MADIとDanteを1枚ずつ入れておけば、どちらでも対応できます。
森元:両方混在して使用できるんですか?
ティアック:可能です。
森元:おお、凄いですね。この間、Pro ToolsでMTRXっていう製品が出て、それをサンレコの記事で勉強したんですけど、DanteとMADIは凄いなと。ま、Danteが凄いね。
松木:だから、今後はDanteが増えていくと思うんですよね、ライブレコーディングで。レコーディングもいろんなメーカーを試したけど、たぶん一番コンパクトなんですよね、DA-6400dpが。
森元:素晴らしいですよ。先日もライブレコーディングに立ち会って、DA-6400dpを使っている現場に行きましたが、まあ、止まったことがない。すごい機械なんですよ。
松木:ハードウェアのレコーダーで収録する場合、TASCAMはMADI変換を別に用意しなくていいからね。DA-6400dpとコンソールを直接接続して、1台だけで完結するというね、凄いよね。
森元:毎日のように動かしてて、止まったことがないっていうんですからね。ちなみにSSDは純正を使ってるんですか?
ティアック:市販品はコントローラICなどメディア内部の部品がロットによって変わっていくのですが、弊社とメディアメーカーが中身を変えない契約をした上で、常に安定した状態で使って頂けるものをTASCAMブランドとして販売しています。
森元:なるほど。これはTLCですか?
ティアック:MLCですね。
ティアック:ライブレコーディングはDAWソフトで同録をすることが多いと思うのですが、今回DA-6400dpで録音をされるにあたって、ハードウェアのレコーダーをご使用頂いた理由をもう少しお伺いできますか。
森元:DAWの場合、アナログ信号をスプリッターで分岐してもらうことが多くて。MADI I/Oってのもあるんですけど、DA-6400dpを使うと、オーディオインターフェースがいらなくなりますよね。
ヘッドアンプもコンソールのになるので、それもいらなくなる。今回は自分がエンジニアだったので、ヘッドアンプでGAINを上げましたけど。ありがたかったですよ、メーターが見れたのは。
ティアック:メーターが見れたからというのは?
森元:コンソールにもメーターは付いてるんですけど、PA卓のメーターの振り方ってレコーダーの振りと全然違うんですよ。ノイズとか、マイクの音などの信号をチェックするのがメインなので、小さい音でも凄く振れるんですよ。でも実際上は余ってるんですね。
レコーディングのメーターは、正直じゃないですか。PAのメーターはあんまり正直じゃなくて、上げたつもりが実はまだ上に6dB位、余裕があることがあるんですけど、それも中で調整できるんですよ。
それが、DA-6400dpのメーターを見て、「まだ行けます」みたいな。
ティアック:なるほど、その使い方は参考になりますね。
森元:見やすいんですよ、メーターが。
松木:今回森元さんにやってもらいましたが、PAとレコーディングが別で、例えばメインコンソールからパラでMADIを経由してレコーダーに引っ張ってやると、レベルがとにかく低いんですよね。
森元:メーターが振れないんですよ。例えばステレオのボリュームを全開にしてCDをかけると爆音が出るじゃないですか。だからアンプのボリュームをそのままにしてCDの音を下げるわけですよ。それと同じ状況で録るから、レベルも下がったまま録音される。要は音が小さいんですよ。今回のレコーディングでは、マスターフェーダーを下げて、HAのレベルを上げて、録ったんですよ。フルで録ってるんで、当然音は良かったですよ。
ティアック:デジタルレコーディングではクリッピングを恐れて、レベルは下げめにして録音するなんてこともありますしね。
森元:それ、もうすでに間違ってるんで(笑)
松木:フルでやっぱ入れてもらわないとね。
森元:受けたものを録ってるだけですからね、元が良ければいいですよ。悪いものは良くならないけど(笑)
ティアック:レベルは重要ですね。ここで録音時間についてお伺いします。収録はライブの2時間半ですか。
森元:そうですね。
ティアック:リハも録音されていたとお伺いしましたが、48kHzの場合、64chフルで使っても7時間くらいは通して録音できるので、リハからでも安心して録音して頂けます。一日通しのイベントの場合、録音時間が7時間だと、もう少し余裕が欲しいという話もあり、240GBに加えて、480GBのSSDも発売しました。
ティアック:今回クロックジェネレーターCG-1800も使って頂いたとの事で、感想をお聞かせいただけますか。
松木:いや、なんかもう真面目な機械だなっていう(笑)
ティアック:映像の同期でもお使い頂いたのでしょうか。
松木:マスターにも使ってるし、ビデオもシンクさせました。
ティアック:映像も音もCG-1800をマスターにされたのでしょうか。
森元:ええ、TASCAMワールドです。(笑)
松木:あのシステムを2Uで完結するのは凄い。
森元:2台でね。
松木:普段はこのぐらいの規模の収録だと映像まではシンクかけないことが多いんですよ。
ティアック:最近はライブレコーディングだけでなく動画と音声を録りたいという要望も多いのですが、ズレの影響はありますので、クロックジェネレーターで一括して管理できることは重要だと思います。
松木:ズレはどうにもならないときがあるので、今回のようにマルチを回さないときは、資料用やYouTubeにアップするためにラインとエアで何chか録音して、ビデオも回すんですけど、いわゆるシリコンレコーダーだと、1曲位でもうズレてるんですよ。それを考えるとやっぱりクロックの精度って、けっこう大事。だから、ビデオシンクがあるのは大きいですね。何回か試させてもらったんですが、HDMIで同期できるレコーダーがあるじゃないですか。あれね、すごい良かったんですよね。
ティアック:DR-701Dですね。
松木:DR-701DとDA-6400dpとCG-1800。これがあれば大体のことは出来るかな。
DVD
DISC 2枚組(全149分)/¥4,630+税 発売中
DISC 1
「Tour Final Live at Shimokitazawa GARDEN」(約115分)
DISC 2
「Road Movie」(約34分)
リハーサル風景含む、熊本・名古屋・神戸・東京公演のMCなどのオフショット