インタビュー・レビュー
ヤマモトショウさん | SONAR インタビュー 

ヤマモトショウ インタビュー
 
SONARとの出会い

TEAC:ヤマモトショウさんに楽曲制作におけるDAWソフトSONARについてお訊ねしたいと思います。
まず、最初にSONARを使ったのはいつごろでしょうか?

 
ヤマモトショウさん(以下敬称略):2007~2008年のSONAR6からですね。当時、僕はまだ大学生でギターは弾いていたんですが、曲も作りたいなと思って、楽器屋さんに行きました。SONARを選んだ理由は、正直に言うと楽器屋の売り場の一番近くに置いていたというだけなんですけど(笑)

TEAC:それは運命的なであいですね。オーディオインターフェースにSONAR LEが付属していて、それを使ったのがきっかけという話をよく聞くのですが。

ヤマモトショウ:いや、僕はそういうわけではないんですよ。先にSONARを選んで、相性がよさそうなインターフェースを買ったので、そういう意味ではSONARが先ですね。
「ふぇのたす」は2012年からですが、その前に一つバンドがあって、それはいわゆるロックバンドで、ギター、ベース、ドラムという編成でした。同時にDAWでの曲作りにも興味があったので、使っていました。 そこから、「ふぇのたす」になるときに、ボーカルの声の印象から、デジタルな音楽で行こうと。その頃になると僕も音楽(プロ)で食っていこうという想いがあって、音楽もデジタルで打ち込みをやり始めました。

TEAC:基本は、ギタリストですよね?

ヤマモトショウ:そうですねステージではギターを弾いています。

TEAC:でも、音作りの主軸はギターに限らずいろいろな楽器や音を使われている印象がありました。
例えば、「ふぇのたす」の「すしですし」等を聴かせていただいた時も、ギターはユニゾンでかぶせてきたり、ギターソロも含めて、ギターが全面に出てくるというよりは「ここぞ」というところで出てくると感じがしましたが、いかがですか?

ヤマモトショウ:ギターはリフとかソロが好きなんですよ。特にリフが好きなんですけど、逆に空間を埋めるためのギターはあんまり興味がなくて(笑)。
ギターが一番得意なので、ステージではギターを弾いてますけど、アレンジ上では構成がよくなる楽器を選んでますね。
でも最初は苦労しましたよ。鍵盤が弾けなかったんで、アレンジができないっていうね(笑)。

ヤマモトショウ流作曲術

TEAC:次に作曲方法についてお伺いします。そもそも、色々な方法があると思うのですが、仮に楽曲のオーダーを受けたら、まず何から始められますか?


ヤマモトショウ:まずはタイトルですね。もしくはテーマ。作詞の時もそうなんですけど、素材は普段から一杯用意しておくのですが、言葉もたくさん考えながら、オーダーに対して曲のテーマを決めますね。
そうするとサビのメロディなどが歌詞を基にして作られる感じで。それがAメロになるときもありますけど、そこでギターかピアノで弾きながら作るって感じですかね。

TEAC:わりと早い段階で楽器を持つのでしょうか?
なぜ、この質問をしたかといいますと、作曲段階ではあまり楽器を持たないという方もいらっしゃったので、とても興味があります。

ヤマモトショウ:そうですね、ある程度早い段階で持ちますね。それはいろいろ事情があって、キーなどはあらかじめ決めたいなと。そんな時にギターを弾きながら考えるとよかったりするんです。

TEAC:そこからは肉付けが必要になるかと思いますが、 ヤマモトさんにとって、黄金の作曲法というのはあるのでしょうか?
例えば、ドラムから作りこんでいくとか、ドラムは適当にやってから、徐々に肉付けするとか。

ヤマモトショウ:あ、僕は最初にドラムとベースは結構ガッツリ決めちゃいますね。なんか、テンション上がらないじゃないですか(笑)。

TEAC:わかります!

ヤマモトショウ:やっぱ、バンドから入っているんで。まあ、鍵盤とかは後から何回も弾いてやり直すんですけど、ドラムとベースは一番最初の段階で作りこむことが多いですよ。ベースは弾き直すこともあるんですけどね。

TEAC:ちなみにドラムの音源は、何を使われていますか?

ヤマモトショウ:Addictive Drums 2ですね。SONARは音源を3つ選べるじゃないですか。僕はこれなんですよ。

TEAC:Reel Maschinesですね。
 
ヤマモトショウ:なんでこれを選んだかというと、エレクトロとかが音楽的には主軸で、「ふぇのたす」はエレクトロポップスなので、これは入れとかないとなと(笑)
あとの二つは定番を選んでいるという感じですが。結構混ぜて使ってますよ(笑)
例えばキックはLINNでスネアはTAMAでハイハットはSIMMONSとか。

TEAC:Addictive Drums 2以外に使っているドラム音源などはございますか?

ヤマモトショウ:音源はAddictive Drums 2以外はないです、前はSPARKとか使っていましたけど。
なんかもう、正直、Addictive Drums 2のReel Maschinesで自分の好きなキットができてて。方程式的なものがあるんですよ。この自由度はいいですよ、気楽にいじれますし。曲作りではドラムを細かく打ち込むというよりはサンプルも使いつつ、曲の雰囲気が伝わることが大事なので、割とAddictive Drums 2のフレーズで気分よく作っちゃうことも多いですけどね。

TEAC:Z3TA+2やD-PROも使われているようですが、Z3TA+2はいかがでしたか?
  
ヤマモトショウ:これ大好きですよ。Z3TAのころから慣れているからかな。音も太いですし。

TEAC:ヤマモトさんが、Z3TA+2の中でよく使うという音源はございますか?

ヤマモトショウ:プリセットの名前見たり、動かしたりしながら雰囲気で。例えばリードから引っ張って適当にいじりながら、できちゃう感じはありますよ。

TEAC:Z3TA+2やRaptureなどソフトシンセ全般に言えるのですが、音からインスピレーションを得ることはございますか?

ヤマモトショウ:それはメチャクチャありますよ。デフォルトのアルペジエーターを使って、なんとなく鳴らして、リズムとかビートとかがその音色に寄ってくることってあるので、プリセットってめちゃくちゃ大事ですよね。なんかこう、スピード感って必要じゃないですか。自分が思いついたときに作れないと飽きちゃいますし(笑)。プリセットの音がいいと指針になるし、プリセットの音がいいって大事ですよね。
D-PROも使ってますよ。ローズピアノの音とか使ってます。
※途中のプロジェクトファイルを再生しながら。
ローズはにじんだ感じの音とか楽しくて、ずーっといじって作ってますね。
 
TEAC:SONAR6で作曲を始められたころは、バンドサウンドがメインだったのでしょうか?

ヤマモトショウ:全然バンドサウンドでしたね。だから当時はSONARの機能はそんなに使ってなかったですね。ギター弾いて、歌を録ってデモにしてから、ドラム録って、ベース録ってって感じだけでしたね。
今はその頃に比べて、さらに使いやすくなった上に、Addictive Drums 2とかもあるので、作曲にも使いやすくなってますよね。

TEAC:私は、最初にAddictive Drums 2を触った時、フレーズがいっぱいあり、打ち込まなくてもいいのだと感動しました。

ヤマモトショウ:若いミュージシャンでDAWを始めたいという人から相談を受けるんですけど、とりあえず買ってみて、どれでもいいっていうのは乱暴かもしれないけど、例えばSONARを買ってAddictive Drums 2を開けば、いろいろ入っているから、フレーズを入れてみて、そこから考えたらって。あといかに自分がドラムのことわかってないかがよくわかるからって(笑)。
Addictive Drums 2のフレーズを見ると「ああ、ここがああなってるんだな」みたいな。
一方でドラマーじゃない自分が打ち込む音は「普通のドラマーには無理だろ」みたいなフレーズも面白かったりしますけどね。Addictive Drums 2のフレーズにある、ただ打ち込むだけじゃない微妙なズレとか、ああいうのを聴いているだけでも勉強になりますよ。

TEAC:ProChannelは、活用されていますか?

ヤマモトショウ:めちゃくちゃ使いますよ。特にEQとか、録ってる間にちょっと変えたいか、普通にプラグインを挿すより手軽ですし、面白いですよね。Style Dial FXとか、グリっと上げるとグワっと変わるし、リバーブもREmatrix Soloとかは単体に負けない再現度と種類がありますよね。ただ、僕は基本ミックスはしないんですよ。ミックスの時は全部エフェクトを外してエンジニアに送るので、ここでかけたリバーブを本番で使うことはめったにないんですけどね。

TEAC:ヤマモトさんの場合は、音が並んだ段階でひとまずのゴールとなるのでしょか?

ヤマモトショウ:そうですね、まあ、ある程度はミックスのイメージを持ちますし、プロデュースの時はデモでかっちり作らなきゃいけない時はやりますけど、ミックスはプロの仕事だなといつも思うんですよ。

SONARは曲作りが楽しくなるツール

TEAC:作曲において、SONARを使う利点とは何でしょうか?

ヤマモトショウ:必要な機能は一通りあるし、その機能がわかりやすいってのはありますよね。僕が感謝しているのはDAWソフトを使うことに挫折しなかったことなんです。もちろん僕が買った頃のSONARと今のSONARでは違うんですけど。

シンセの音を出したらかっこいいなとか、「昔あの曲で聴いたシンセの音のような気がする」とか、触っていって、それが積み重なって、少しずつ作曲ができるようになったと。
いいシンセもいっぱい入っているんで頑張れたなと思ってます。

TEAC:今回、ヤマモトさんのSONARのプロジェクトファイルを拝見して嬉しかったのはD-PROやZ3TA+2を即戦力として使って頂いていることでした。ソフトシンセやエフェクトは市販のものを併用されるプロの方も多いので。

ヤマモトショウ:僕ね、こういうインタビューとかでありがちな、それっぽく使っているふりとかではなくて、本当に普通に使っているんですよ(笑)

TEAC:以前、全部SONARだけで作った曲がいくつもあるとおっしゃってましたね。

ヤマモトショウ:ありますよ!「ふぇのたす」のメジャーデビュー後の曲とかでもSONAR内の音源だけで作った曲が普通にメジャー流通しているんで、これだけでも作れるぞっていうことで、考えていただければと思うんですけど(笑)。

まずは「自分で持っているもので極めないと」と思うんです。欲が出るじゃないですか。「あのプロっぽい音を出すにはなんか必要だ」みたいな。でも、もうちょっと自分が持っているもので突き詰めれば、それでできることもいっぱいあるし、思った以上にこれだけで十分できる、それが出来て、初めて、新しいものを買ったら、また一気に広がる。それもなく行っちゃうと機械に翻弄されますよね。最初は自分のバンドで作った曲を録りたいというところから始めたけど、当時はプロになるなんて思ってもみなかったし。まずは楽しむことが大事ですよね。
SONARって曲作りが楽しくなるツールですけどね。
これを開くことが仕事の始まり、何もかもが始まる感じです。
 

プロフィール

ヤマモトショウさん
1988/2/19生まれ、静岡県出身。東京大学文学部思想文化学科哲学専攻卒。
バンド「ふぇのたす」のギター、作詞作曲担当としてデビュー。
バンド活動の傍らシンガー、アイドル、声優など多数の楽曲提供、プロデュースなどを行う。
2015年9月のバンド解散後より本格的に作詞、作曲家として活動を開始。
フェイバリットはロック、ニューウェーブ、エレクトロミュージック。

公式twitter
https://twitter.com/yamamoto_sho

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