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『柳ジョージメモリアルライブ』のライブ配信用ミキサーにModel 24、Model 16を使用

パラダイスカフェ20周年スペシャルライブ
~柳ジョージメモリアルライブ~あの日から10年

パラダイスカフェについて

パラダイスカフェは、横浜馬車道にあるライブ・レストラン・バーで、2021年にオープン20周年を迎えました。今回のイベントは、『パラダイスカフェ20周年スペシャルライブ~柳ジョージメモリアルライブ~あの日から10年』と題し、柳ジョージ氏の没後10年の命日にパラダイスカフェのオーナーでありシンガーの滝ともはるさんと『柳ジョージ&レイニーウッド』で活躍された石井清登さん、ミッキーヤマモトさんを加えたスペシャル編成でのライブとなりました。

今回のライブ配信について、滝ともはるさんとライブ配信のミキシング・エンジニアを担当した冬野竜彦さんにお話しを伺いました。

使用機材:
16トラックライブレコーディングミキサー 『Model 16』
24トラックライブレコーディングミキサー 『Model 24』

 

演奏が始まってまず感じたことは、パラダイスカフェの音がとても良いということでした。ベテランミュージシャンの方々の演奏はもちろんですが、決して広くはない店内で、音のまわり込などなくバランスのいいブルースサウンドが心地良く響いていました。音について工夫されていることはありますか。

滝 ともはるさん(以下敬称略) : パラダイスカフェを20年続けていく中で、音響機材はプロの意見も伺いつつ最良のものを導入してきました。オープン当初は私がPAも行っており、ミュージシャン、シンガーが一番気持ちよく演奏できる環境を目指していました。そのために一晩中マイク片手にチューニングすることもありました。実際に、ミュージシャンが気持の良い音が出ると、ステージはガラッと変わります。こうした中、集まった音響仲間からの助言ももらいつつ、試行錯誤を経て今に至ります。

パラダイスカフェがライブ配信を始めた経緯を教えてください。

滝 : コロナウイルス感染症に伴うエンターテイメント環境の変化により、パラダイスカフェでも2020年からコンサートのライブ配信をはじめました。これまで100本以上の配信を行いましたが、良い音でできる時がある一方、画音のズレや映像のフリーズといったトラブルで出演者や視聴者にご迷惑をかけることもありました。最低限のクオリティを確保できる機材をそろえ、良い音、良い映像で配信をしたいというアーティストのための環境を日々整え準備をしています。今回のライブ配信では、オリゾンテスタジオの冬野さんに相談して、TASCAMの『Modelシリーズ』を配信用ミキサーとして導入する運びとなりました。

「Modelからの2Mixは、オーディオインターフェース経由でOBSへ出力」

今回のライブ配信のポイントを教えてください。

冬野 竜彦さん(以下敬称略) : パラダイスカフェのホール音響システムと並列で、ライブ配信用のミックスを作るために『Model 24』と『Model 16』を使用しました。ライブ配信専用にドラムのタムとフロアタム、ティンパレスには追加でマイクを立て、会場ミキサーと『Model』にパラパラボックスを用いて並列配線で接続しました。『Model 16』ではドラム7点の2ミックスを作り、それを『Model 24』のステレオチャンネルに立ち上げました。その他の楽器、ボーカル、コーラスを『Model 24』のチャンネル1~11chに立ち上げる形となりました。

『Model 16』と『Model 24』の感想を教えてください。

冬野 : まずはライブパフォーマンスが最高でした。それで、かなりいい感じに配信の音作りができました。『Model シリーズ』に搭載されているTASCAMのUltra HDDAマイクプリアンプは素直な音で、ヘッドアンプを作り込んでいるだけあり、しっかりとした出音を得られます。さらに、本体SDカードにマルチトラックレコーディングができて、この価格は最高です。

滝 : ライブ配信を視聴していたスタッフから『今回の配信は、今までにないハイクオリティだった』と連絡がありました。これは私たちにとってもすごいことです。

『Modelシリーズ』は、アナログミキサーの操作性とデジタルレコーディングを組み合わせた仕様となっていますが、ライブ配信との相性はいかがでしょうか。

冬野 : ライブ配信においてはアナログミキサーの操作性は、非常にわかりやすいので、ライブハウスの規模には適していると思います。デジタルミキサーは、ルーティングの自由度で重宝しますが、入出力の信号がどこに行っているのかわかりにくいなど、トラブルになることもあります。

『Modelシリーズ』を使う上で戸惑ったり困ったことはありましたか。

冬野 : 搭載されているワンノブコンプレッサーの操作感にはじめは違和感がありました。ノブを回した時のコンプの効き具合とメイクアップゲインが、実際の感覚とあっていないような気がしました。ただし、使い込んでいくとハマるポイントがあることがわかりました。

TASCAM『Model シリーズ』は、一台でミックスと録音ができます。ライブ配信は発展途上でもありトラブルが起きることもあります。ただし、配信と同時に、バックアップとしてマルチトラック録音ができるので、ライブ配信でトラブルが起きた場合でもバックアップ録音をリミックスしてアーカイブすることも可能です。

冬野 : 私の経験上、良い機材をそろえてもトラブルは起きます。トラブルをなくすために、配信前にたくさんの準備が必要ですが、バックアップで録音ができるのはいいでね。

最後に、パラダイスカフェではコロナウイルス感染症によりライブコンサートに制限がされ、ライブ配信を導入したという経緯を伺いましたが、制限が解除された後もライブ配信に注力されていきますか。

滝 : ライブ配信は続けていこうと考えています。現在多くの場所で行われている配信の数は今後減ると思います。しかし、本当に良いライブ配信は今後も残っていくのではないでしょうか。また、配信だけしたいミュージシャンなど、環境も多様化すると考えられます。パラダイスカフェでは、良い音、良い映像でライブ配信をしたいというミュージシャンのために、今後、配信/音響機材をグレードアップしていく予定です。その時はぜひ、よろしくお願いします。

滝 ともはる氏 (左)、冬野 竜彦氏 (右)

 

プロフィール

滝 ともはる

大分県中津市出身。1978年にデビュー。
1980年、サントリービールのCMソング「南回帰線」で堀内孝雄氏とデュオ。
2001年、横浜馬車道にライブレストランバー「パラダイスカフェ」をオープン。
2018年、40周年の記念コンサートを関内ホールにて開催
2018年から、FMヨコハマにて「横浜の夜は眠らない」にレギュラー出演。
現在はWebにて「滝ともはるのSHAKE!」を配信中。

滝ともはるオフィシャルWebサイト
https://www.takitomoharu.com/
パラダイスカフェWebサイト
https://www.paradisecafe2019.com/

 

冬野 竜彦

神奈川県出身
1982年avexに入社。 レコーディングエンジニア、アレンジャー、原盤ディレクターとして活躍。
1999年スタジオセクションのチーフに就任。
2003年avexを独立してオリゾンテを立ち上げる。
2009年メジャーレコード、インディーズレコードまで多数音楽原盤制作を制作

オリゾンテレコードWebサイト
https://www.orizzonterecords.com/

 

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